怪人二十面相/人間椅子 - 2000.06.21 Wed
[sales data] 2000/6/21 [producer] 人間椅子 [member] 和嶋慎治(vo/g) 鈴木研一(vo/b) 後藤マスヒロ(vo/ds) | 怪人二十面相 |
「このアルバムは不思議体験がよくあった。出会いを大事にしたほうが良いと感じたね」(「椅子の中から」抜粋)
人間椅子の二十世紀最後の作品は大変お世話になっている江戸川乱歩先生ネタを散りばめた作品で
怪人二十面相の「二十」は二十世紀とも掛けているとのことです。
(アルバムコンセプトを決めたので楽曲制作はいつもよりも楽だったとのこと)
怪人二十面相のPVでは怪人二十面相役(鈴木)明智小五郎役(和嶋)小林少年役(後藤)です。
人間椅子はある意味ビジュアル系でもあるんですよね(笑)
「いい大人がとても馬鹿らしいことを恥ずかしさを振り切って一生懸命やり切る」ことが
人間椅子の音楽以外の大きな魅力として共感を覚えます。
霊感の強い和嶋さんはこのレコーディング中、二つの不思議体験があったとのことです。
(1)自宅で怪人二十面相のソロパートを考えていると、右横に女性が立っているので
奥さんがパートから帰ってきたのかなと思っているといない。
人の気配のする方に目線をあげるとそのうち着物をきたおばあちゃんが立っているのが見えてきて、
その直後おばあちゃんが亡くなり、葬式のため一度青森に帰り、東京に戻ってレコ―ディングを
再開したとのこと。
(2)「芋虫」のギターソロを弾くのに何かよいエフェクターがないかなと考えていたら
夢にエフェクターマニアの秋間経夫さんが出てきて「和嶋君、良いエフェクターがあるよ」と
話しかけて貸してくれたという夢の話を鈴木さんにすると偶然にも下のスタジオに
秋間さん来ていると言われ、遊びに行くと「和嶋君、よいエフェクターがあるよ。
トランジスタだけど、良い歪みのするプリアンプだよ。」と言われ必然的にお借りして
「芋虫」のイントロのスライドギターのエフェクトに使用したとのこと。
和嶋さんはこの頃から自分のまわりで不思議体験を複数回経験するようになるのですが
「曲というのはできあがるべくしてできるんだなと。出会いに逆らわず、その出会いを大切にした方が良いと
考えるようになった」
又この頃からネット評を気になるようになり、エゴサーチをやっていたものの、新しい曲を
出すたびに、前の方が良かったと言われてへこむことが多くなり、自分を見失い迷路に迷うので
ネットを遮断したことで、そもそも自分のやりたいことを気にいった人がついてくるわけだから
評を気にする必要はないと悟り、曲作りも随分楽になったとのこと。
見知らぬ世界/人間椅子 - 2001.09.21 Fri
[sales data] 2001/9/21 [producer] 人間椅子 [member] 和嶋慎治(vo/g) 鈴木研一(vo/b) 後藤マスヒロ(vo/ds) | 見知らぬ世界 |
「死にゆくまで生き抜くことをやるべきだって自分の言葉で言えた」(「椅子の中から」抜粋)
人間椅子にしては今までにないポップで明るい曲調の楽曲を多数含んでいるため
ファンの間では賛否両論ありますが、「文芸ロック」縛りだけではこの先、行き詰ってしまうのは
明白だったのでこの程度のサウンド転換は個人的には十分許容範囲です。
作風の大きな変化は和嶋さんの私生活にあり、パートの奥さんに紐として食わせて貰っていることに
引け目を感じていたことと、楽曲制作するためには一人にならないと集中できないという理由で
離婚して高円寺の安アパートに引っ越し。
高円寺という新天地に移ったことと21世紀という新しい時代に入ったことで気分が高揚し
今までの作風と違う楽曲アイディアが複数沸いたとのこと。
寅さんシリーズでお馴染みの山田洋二監督が「とにかくいっぱい作ればそのうち良いのもができる」
というお言葉を胸に鈴木君曰くの「アルバムの中には数曲良い曲があれば良い」という気楽さも生まれ
「悪魔大いに笑う」はファンから後ろ指さされるも作りたくて作ったんだからこれでいいのだと
「自分の演りたいようにやったらいい」と完全に吹っ切れたある意味バンド転換期の作品です。
離婚したことで何かが吹っ切れ、「死神の饗宴」で「死にゆくまで生き抜くことをやるべきだ」
と自分の言葉で言えたことで自分の方向性に迷いがないことを強く認識したとのこと。
「さようならの向こう側」もあまりにも曲調がらしくないので、レコード会社から
アルバムに入れるなと言われたそうですが、鈴木君が和嶋さんの離婚のことを知っていたので
この曲はこのタイミングでしか入れられないと思い、説得して収録したとのこと。
ビジュアル重視で益々軽視されるようになった日本語を大切にし、彼ら自身の言葉による
「文学詩」で練り出される独特な世界観はますます磨きがかかっています。
さぁ貴方も、開いてるドアから、そっと人間椅子の世界を覗いてみませんか?
(このPVは樹海で撮影し、霊感の強い和嶋さんだけ奇妙な声が聞こえ続けたとのこと(笑)
修羅囃子/人間椅子 - 2003.01.22 Wed
[sales data] 2003/1/22 [producer] 人間椅子 [member] 和嶋慎治(vo/g) 鈴木研一(vo/b) 後藤マスヒロ(vo/ds) | 修羅囃子 |
「失敗作を作ると、どれが黄金比かってだんだんバランスが分かってくる」(「椅子の中から」抜粋)
ビジュアルバンド人間椅子の今回のコスプレはチンドン屋もどきのお囃子です(笑)
(女装した和嶋さんはまるでマギー四郎(笑)
とある作品評で「人間椅子は音楽性が一貫しているので、いつも新譜は安心して聴けるが、
同時に物足りなさも感じる。」という感想は私も強く感じるところです。
ただ人間椅子の場合、繰り返し何度も聴くような作品質ではありませんが、
私の場合はまず歌詞を見ないでサウンド重視でアルバムを通しで聴いて、
その後歌詞に目を通しながら聴くようにしているのですが、聴くたびに新しい発見があり、
「聴けば聴くほど味が出る」スルメバンドとして、未聴の多くのロックファンにお薦めしたい
愛すべきバンドなのです。
鈴木さんがこの作品がイマイチなのは自分が6曲も作曲しているからと自嘲気味に語って
いるのですが、確かに安定路線ということで言えばらしくない楽曲が多いですが
本作は逆にそれが新鮮味になっているし、最後はきっちり人間椅子の楽曲でも
3本の指に入る「相剋の家」でビシっと決め、今もどのバランスで行くのが美しいのか模索中とのこと。
(ちなみに鈴木さんの思い描くアルバム構成の黄金比は和嶋6鈴木4/作詞は和嶋専任)
尚、事務所が解散することになり、マスヒロさんが脱退しナカジマノブさんに交代します。
この曲のベースラインは和嶋さんによると「飛行機墜落~飛行機墜落~」と弾いている
ダークなリズムだそうです(笑)
三悪道中膝栗毛/人間椅子 - 2004.09.29 Wed
[sales data] 2004/9/29 [producer] 人間椅子 [member] 和嶋慎治(vo/g) 鈴木研一(vo/b) ナカジマノブ(vo/ds) | 三悪道中膝栗毛 |
「練習の行き帰りも常に三人一緒で新生人間椅子でリスタートした感じ」(「椅子の中から」抜粋)
ジャケット見るともう色物バンド感、丸出しなのですが、
「俺たちの音を見た目で判断すんな!」みたいなひねくれ感が実に心地よい(笑)
ノブさんが加入した新生人間椅子。
(ノブさんはいきなり「道程」をノリノリで歌っています(笑)
この3人になって現れたサウンド変化はたどたどしいながらコーラスワークに
凝り始めたことです。
この後人間椅子はこのトリオメンバーがフィックスとなりエンジニアに内藤輝和さんという
バンドのよき理解者を加え、結成30周年までこの面子で突っ走ることになります。
アルバムタイトルは新しい3人になって新しい旅が始まるということで「東海道中膝栗毛」を
文字って仏教の三悪同と東海道をかけたものにしたとのこと。
今回、PVを録った「洗礼」は鈴木君作なのですが、「怪人二十面相」(2000年)以来
久々に手応えを感じた自信作で、自分は4年に1曲は良い曲ができるという4年サイクル説を
語っています(笑)
この頃3人は高円寺に住んでいたので、練習の行き帰りいつも3人一緒に原付でスタジオに通い
高校生のバンドみたいなフレッシュな気持ちが反映されているとのこと。
日野日出志先生の「蔵六の奇病」にインスパイアされた「与太郎正伝から」抜粋
♪
誰にも期待はされず
誰にも頼りにされず
誰をも傷つけないで
誰にも嘘をつかない
与太郎
本当は皆、君になりたい
本当は皆、君になれない
久々に文芸ロック(痴人の愛)が登場したり、落語ネタ(与太郎正伝)にもチョッカイ出すようになり
「文芸」「宇宙」「地獄」「パチンコ」シリーズなどに加えネタにするジャンルも随分豊富になってきました。
瘋痴狂/人間椅子 - 2006.02.22 Wed
[sales data] 2006/2/22 [producer] 人間椅子 [member] 和嶋慎治(vo/g) 鈴木研一(vo/b) ナカジマノブ(vo/ds) | 瘋痴狂 |
「やっぱり40歳になったということでこの頃からバンドがブレなくなってきた」(「椅子の中から」抜粋)
2005年にメルダックは徳間ジャパンの一レーベルとして再編されこの作品から徳間ジャパンから発売されます。
瘋痴狂(フーチークー)とは淫靡な踊り、酔っ払い、絶倫などもともとヴ―ドゥ―呪術の
黒魔術から来た言葉で尋常ならざる手段を用いて人を狂躁状態にいたらしめるの意味。
前作に収録された「与太郎正伝」のリフがやたらリック・デリンジャーっぽいなと思っていたら
デリンジャーさんの「ロックン・ロール・フーチークー」のフーチーク―という言葉の響きを気にいり
ヤンキーのりで漢字変換してタイトルにしたとのこと(笑)
ジャケットに鳥獣戯画風のウサギが描かれている理由は江戸時代に粋なモノとして
うさぎの入れ墨を入れるのがチンピラや三下の間で流行し、今でいえば食えないバンドマンみたいな奴らが
うさぎを入れていたという発想からウサギが描かれているのだそうで「ロックで食っていくんだ!」
というブレない心意気を表明したものでこういう小粋なところが人間椅子の魅力です。
収録曲の小ネタを記しておくと
「不惑の路」は鈴木さんが40歳記念に作り、ファンから「是非60歳の時も歌を作ってください」と
リクエストされるも50歳の時は「体が悪くなった」とかそんな感じの曲になりそうだったため
止めたが60歳になってまだ現役だったら何とか乗り越えた感の前向きの曲が作れそうとのこと(笑)
ずいぶん爽やかなサウンドの「孤立無援の思想」はさそ晴れやかな気分で作ったんだろうと思ったら
まだこの頃、バイトとバンドの二重生活の和嶋さんが働いていた練馬の日販の下請けの製本所で
働きながら思いついて書いたそうです(笑)
「幻色の孤島」は日野日出志先生の作品にインスパイアされた曲でロックに興味のない先生も
「この曲はすごく入って来るね」とお褒めの言葉を頂いたとのこと。
この曲はクリムゾンの「太陽と戦慄Part2」を参考にして作ったもののあまりに考えすぎて作り過ぎたため
拍を取ってリズムを合わせるのが難しいのでライヴでは演らないとのこと(笑)
本作の肝として落語ネタが再登場するのですが、鈴木君の好きな「富くじ」とか「狸賽」とか
ギャンブルネタかと思いきやいきなり大ネタの「品川心中」です(笑)
ちなみにイントロは和嶋さんの好きな圓生師匠の出囃子「正札付」です。
(途中、和嶋さんの落語もあります(笑)
(鈴木君はこのPVから頭を剃り上げて坊さんコスプレになります(笑)
真夏の夜の夢/人間椅子 - 2007.08.08 Wed
[sales data] 2007/8/8 [producer] 人間椅子 [member] 和嶋慎治(vo/g) 鈴木研一(vo/b) ナカジマノブ(vo/ds) | 真夏の夜の夢 |
「レコーディングが1曲終わるたびに嬉しくて毎日号泣してました」(「椅子の中から」抜粋)
「空飛ぶ円盤」「猿の船団」「閻魔帳」「牡丹灯篭」「肥満天使」など非日常的なタイトル曲が並び
シェークスピアの作品を思いついてアルバムタイトルをつけたとのこと。
和嶋さんは大して売れていないのに、年1年ペースでメジャーからアルバムが出せることに感謝し
(多分メルダック~徳間さんの上層部に人間椅子推しする幹部がいるのだと思います)
毎回、アルバム収録曲を録る度に涙していたと語っているのですが、相変わらずバイトとの
二重生活が続き苦しかったものの、色々な書物を読み自分の中の悩みが解決し
世界への感謝の気持ちが生まれ、充実感を感じながらアルバム制作に取り組めたとのこと。
({世界に花束を」では手紙を読むという朗読曲に挑戦)
なんとか食っていける現状に満足し売れてビッグになる夢を捨てたわけではないのですが、
売れたいとか、メジャーになりたいとかのガツガツした嫌らしい感じがなく、純粋に音楽活動を
続けられることが嬉しいというストイックさが大きな武器となり、売れるためやウケるため
都度方向性を変えることなく自然体で一本気なハードロック道を突き進む私はそういう
人間椅子の音楽へのひたむきさ(人間力)に強く魅かれているのだと思います。
先日NHKの「プロフェッショナル」で漫才のサンドウィッチマンを取り上げていましたが
彼らとの共通点として感じたのは、東北人としての芯の強さ(東北愛)で、
豊富な物と便利さに溢れた郷土愛がこれっぽっちもない首都圏周辺の芸人やミュージシャンとは
別次元のプロフェッショナル度を感じます。
この時期から和嶋さんは荻窪の旅館で缶詰状態で自分を追い込んで歌詞を仕上げるように
意識が変化しますが、反して鈴木君はバイトが6時間雇用から正社員と同じ8時間雇用になり
曲を作る時間が無くなってしまい(苦笑)だんだん自分の作る曲の完成度が落ちて行くのを感じていたため
(本作では「閻魔帳」「牡丹灯籠」「膿物語」の3曲提供)本作以降、歌詞は
1曲しかかかないと宣言し、その負担は和嶋さんへ。
(「膿物語」はパチンコメーカーからクレームが来るのではないかとビクビクしていたようです(笑)
そんな鈴木さんに和嶋さんから「肥満天使」がプレゼントされました(笑)
未来派浪漫/人間椅子 - 2009.11.04 Wed
[sales data] 2009/11/4 [producer] 人間椅子 [member] 和嶋慎治(vo/g) 鈴木研一(vo/b) ナカジマノブ(vo/ds) | 未来派浪漫 |
「バイトが終わって夜12時まで練習してまた翌日仕事に行ってた。情熱なんだよ。」(「椅子の中から」抜粋)
再び本人登場ジャケットですが、これは犬神家の一族コスプレではなくライヴ時の衣装撮影です。
(もうちょっとジャケットも工夫すれば売り上げももうちょっと伸びると思うのですが・・・)
20周年記念べストリリース後の新作。
(私が人間椅子の唯一嫌いなところは毎度出すベスト盤に未発表曲を数曲入れて
コアなファンにもベスト盤を購入させるように仕向ける小細工です(苦笑)
本作は本人達にとって全体的に捻りがなく詰めが甘かったと反省材料も多かったようで
個人的にも20周年ベストで一区切りついてしまった感があり、あまり引っかかる曲がなく
殆ど聴いていないため印象に残っていないこともあり(苦笑)新たな気持ちで「椅子の中から」と
照らし合わせながら聴いてみました。
バイト明けの夜8:00から深夜12時まで練習してクタクタになって翌日も仕事に行くという
ハードワークを情熱だけでやり遂げるというスタイルを和嶋さんはアルバム制作の度に
バイトの長期休暇を貰い仕事先に迷惑をかけるのでバンド一本でやって行くことを決意し、
バイトを辞め夢を追いかけることになったため「ロマン」という言葉を使いたくて
「未来派浪漫」というタイトルになったとのこと。
(ロマンというテーマに釣られて恋の歌が多くなってしまったとのこと(笑)
当時の和嶋さんのテーマは「何故人間は生きているか?」でニーチェを精読し
「太陽の没落」「深淵」はニーチェの言葉が散りばめられているとのこと。
鈴木君はこの頃、絶不調で本作で詩が書けたのは「冥途喫茶」1曲のみ。
人間椅子は基本、売れる曲とかウケる曲ではなく、伝えたいことを歌曲にするという
ごく当たり前のスタイルでそれがモロに出ているのが「ヤマさん」
「ヤマさん」とはマスヒロさんが土建屋でバイトしていた時の先輩(65歳ぐらい)で
生涯独り者でもの凄いピュアな心の持ち主で飲んでる時に色々なエピソードを
マスヒロさんが語るものだから和嶋さんが興味を持ち、曲にしてしまったのだそうです。
ノブさんは「赤と黒」のキーが高いので歌うのに苦労していたらフラカンの鈴木圭介さんが
シーチキンの油を飲むと良いよとアドバイスされ、仮歌をやってる時にシーチキンの油が
なくなってしまったので近くのスーパーでサラダ油を購入してグイ飲みしている内に
顔がテカテカになり、スタジオ中油臭くなってしまったとのこと(笑)
本作はあまり聴き込んでいないので殆ど「椅子の中から」の記事抜粋になってしまい
申し訳ありません(謝)
疾風怒濤/人間椅子 - 2010.12.01 Wed
[sales data] 2010/12/1 [producer] 人間椅子 [member] 和嶋慎治(vo/g) 鈴木研一(vo/b) ナカジマノブ(vo/ds) | 疾風怒濤 |
人間椅子のライヴに行くとですね、何故アルバムが売れないのか何となく分かっちゃうんですね。
ある意味ビジュアル系バンドなのに(笑)女子のファンが少ない・・・
周囲はむさい野郎ばかり(苦笑)
ただ圧倒的に私よりも若い層の人が多く、その点はちょっと嬉しい。
(私の知り合いでもうハードロックなんて聴いてる人は全くと言っていいほどいません(寂)
2010年7月
10日:名古屋ell.FITS.ALL
11日:大阪 OSAKA MUSE
16日:東京Shibuya O-WEST
上記3か所のライヴ音源を編集した上に最終日Shibuya O-WESTの映像(17曲)が
DVDとして付いてくる選曲的にも初期からの代表曲を網羅した人間椅子ライヴ特盛盤ですが
各ディスク目一杯曲を詰め込んでいるので流れが悪く、しまりが悪い感じがします・・・
比岸礼讃/人間椅子 - 2011.08.03 Wed
[sales data] 2011/8/3 [producer] 人間椅子 [member] 和嶋慎治(vo/g) 鈴木研一(vo/b) ナカジマノブ(vo/ds) | 比岸礼讃 |
「震災の後、自分の仕事をちゃんとやるのが人としてまっとうかなと思った」(「椅子の中から」抜粋)
人間椅子が20周年を迎え、総決算のベスト盤やライヴ盤を出したことで
個人的にそろそろ潮時かな・・・と思っていたのですが、人間椅子の真に凄いことは
20周年を迎えた以降の10年で自然体でじわじわブレイクを果たしたことでしょう。
2011年はあの東北大震災が起こった年ですが、丁度スタジオで曲を煮詰めようかという段階で
震災が起こり、何か活動を起こすべきか考え結果、自分の仕事をちゃんとやるのが
人としてまっとうと思い、良い作品を作ることが自分達のやるべきことだという使命感が芽生え、
この頃からコンセプトに基づいてその曲で何を言わんとするかを大事に考えるようになり、
言いたいことさえあれば曲ができる、曲ができてから魂を入れるのではなく魂があっての曲
という意識下で震災の影響が色濃く出た内容です。
(この頃和嶋さんの住んでるアパートで死人が出たため取り壊しになり、安アパートに
引っ越すのですが、壁が薄くてギターが弾けないので近所の公園やコインランドリーで
曲を作っていたとのこと(笑)
ちなみに皆さんの好きな邦楽アーチストはこの年の記憶を刻んだ歌をちゃんと残していますか?
もしあの震災を目の当たりにして歌を残していないのなら、はっきり言ってアーチスト失格です。
何も無理やり心無い「がんばれソング」を作れと言っているのではないのですが
あれほどの衝撃を受けてクリエイターたるミュージシャンが自分という人間フィルターを通して
歌に残そうという気持ちが沸かないのであれば、どんなに綺麗ごとを並べて歌っても、
死んだ魚の目をしている菅総理の原稿某読みと同じで人に伝わる力(言霊)は宿らないでしょう(苦笑)
私は震災がターニングポイントということではないのですが、丁度マイルス・ディヴィスにはまり始めた頃で
ロックとは疎遠になって行くのですが、この作品から再び本を読む感覚で人間椅子の歌世界を
心して聴くようになりました。
取り合えず邦楽ではエンケン、人間椅子、SFU、ヒートウェイヴだけは新譜をしっかり聴こうと
決意した2011年でした。
タワーレコードの初回特典にデモ音源が付いていましたが、公園で小鳥がさえずる中
「今昔聖」の曲作りの様子なども収録されています
萬燈籠/人間椅子 - 2013.08.07 Wed
[sales data] 2013/8/7 [producer] 人間椅子 [member] 和嶋慎治(vo/g) 鈴木研一(vo/b) ナカジマノブ(vo/ds) | 萬燈籠 |
「オズフェストに出て、次は再デビュー作になるだろうという思いがあった」(「椅子の中から」抜粋)
アルバム作りのためスタジオに入ろうかというタイミングでサバス主催のオズフェス出演の
オファーが来たためビッグイベント出演を優先し、リハを重ね最高のパフォーマンスを披露し
(このフェスのために作った「比岸御詠歌」が以後人間椅子の出囃子として使用されます)
サバスファンの中には人間椅子をかじったことのある人が少なからずいたと思うのですが、
より多くの親子ほど歳の離れた人間椅子初体験の若いサバスファンを取り込むことに成功し、
取り巻く環境が激変し今までやってきたことの苦労が報われます。
(この頃、筋少やももいろクローバーZと接点を持ったことも追い風になりましたね。
(「黒い週末」のギターは和嶋さん)
シンプルなトリオ編成が奏でる70年代スタイルのハードロックサウンドはマンネリに陥りやすい傾向で
時代を超えるクリエイティヴなものは何もないのですが、人間椅子の場合はバイトとの二重生活という
苦しい環境をも一つの個性(魅力)にしてしまうようなたくましさで乗り切り、
ブランクを空けずあえてハードロック一本で続けてきたことが何よりも大きな力(芯の強さ)となり
サバス第三世代の若い感性にも通じる説得力を持つようになっていたことを証明しました。
オズフェストに出演し、新しい購買層が増えるだろうという手ごたえを感じ
次は再デビュー作になるだろうと新人のような気持ちで録音に挑んだため充実感のある
作品に仕上がりました。
鈴木君も曲作りのスランプを脱出し、「地獄変」「猫じゃ猫じゃ」「月のモナリザ」
「人生万歳」など鈴木節が数多く収録され久々にねぶたの太鼓を使用した力作「ねぶたのもんどりこ」
も誕生しました。
(「猫じゃ猫じゃ」のリハ最中、猫の鳴き声がすると大騒動になり、スタジオ内を探すと
ドラムセットの上の空調の配管から聞こえ、配管業者を呼んで猫を救出したとのこと(笑)
バンド結成25周年を目前にいよいよ「進撃の人間椅子」が始まります!