Free Jazz/Ornette Coleman - 1960.12.21 Wed
ステレオの左右のチャンネルから、別々のカルテットの演奏が聞こえるという、
斬新な手法でレコーディングした約40分弱の「フリー・ジャズ」1曲をAB面に分けて収録。
(CDは同日のレコーディング・セッションの「ファースト・テイク」を追加収録)
オーネットさんはテーマとアンサンブル部分を作曲し、あとは各メンバーの即興演奏に
任せており、フリー・ジャズというジャンル名の由来になったとのこと。
言語が異なる8人が意味を解さず言い争いをしているというスタイルとしてはフリージャズですが
ドラムやベースがある程度一定のリズムキープをしているので、昨今のフリージャズとは異なり
コードの制約から逃れた前衛的に聴こえる即興演奏のソロ・オーダーも、あらかじめ
以下のように決まっていたようです。
エリック・ドルフィー→フレディ・ハバード→オーネット・コールマン→ドン・チェリー
→チャーリー・ヘイデン→スコット・ラファロ→エド・ブラックウェル→ビリー・ヒギンズ

オーネットさんとドルフィーさんはこの録音前日(12/20)ジョン・ルイスさんの「ジャズ・アブストラクションズ」で
初共演しており、フリージャズの旗手といえば真っ先にこの二人が思い浮かびますが
面白いのは両人共にチャーリー・パーカーさんとのコンビからキャリアが始まっているのです。
「ドルフィーさんってフリージャズなの?」と感じる方が多くいらっしゃると思うのですが
識者の言葉を借りればパーカーさんの呪縛からの逃れ方にこの二人の大きな違いがあり
伝統的なジャズの枠組みを超えようとしていたオーネットさんに対し、伝統的なジャズの
文脈に連なった上で前衛性を発揮したのがドルフィーさんということになります。
つまり理屈抜きで気の向くままに演奏すればいいじゃないかのオーネットさんに対して
モンクさんと同じく音楽理論を熟知していたドルフィーさんはその1線は越えなかった
ということです。
更に面白いのはコルトレーンさんはオーネットさんが構築したこのフリージャズというスタイルに
大きく影響されるものの、共演者として選んだのはドルフィーさんなんですよね。
つまりドルフィーさんのフリースタイルはジャズの精神性を崩していないということが
フリージャズのそれと感じさせない理由ではないかと思います。

そしてドルフィーさんの死の悲しみを乗り越えて「至上の愛」が生まれるのですが、
もしドルフィーさんが亡くなられなければ、その存在がコルトレーンの音楽のタガとなり、
オーネットさんもびっくりのフリージャズモンスター作品「アセッション」」は生まれなかったと
考えるのはややこじ付けすぎでしょうか?
そしてもう一人面白い男がいまして、それはフレディ・ハバードさんです。
ハバードさんは本作を含む三大古典フリージャズ作品全てに参加しているのに、
(エリック・ドルフィーさんの「Out to Lunch」&コルトレーンさんの「アセッション」)


フリージャズには興味を示さず、ジャズ・メッセンジャーズやハービー・ハンコックさんの
ジャズファンクな方向に進んでいきます(笑)
まぁ何度も繰り返し聴く作品ではありませんが「アセッション」よりは聴きやすいと思います(笑)
- 関連記事
-
-
Ornette on Tenor/Ornette Coleman 1961/03/27
-
Ornette!/Ornette Coleman 1961/02/15
-
Free Jazz/Ornette Coleman 1960/12/21
-
This Is Our Music/Ornette Coleman 1960/08/02
-
The Shape of Jazz to Come(ジャズ来るべきもの)/Ornette Coleman 1959/11/15
-
スポンサーサイト