Boomer's Story(流れ者の物語)/Ry Cooder - 1972.11.15 Wed
本作はブルース、R&B、カントリーと南部のアメリカン・ミュージックにスポットをあて
広大なアメリカに夢を求めて旅するヒッピー男の物語。
ライさんに新しく命を吹き込まれた楽曲群は単なるカバーの域は軽く超えてしまっている
素晴らしい歌世界です。
本作はインスト曲も複数収録されていてライさんの巧みなギター演奏も楽しめるのですが
18番のスライド奏法についてライさんのコメント
「ロックンロールのスライドは僕にはサウンドエフェクトの一部分や素音のように聴こえる。
あれは一種の突然変異であってボトルネックとは思えない。
まぁそれはその演奏者がどこで音楽を学んだかルーツや伝統やバック・グラウンドが何かに
大いに関係があるんだろうけどね」(>多分喧嘩別れしたキース・リチャーズへの当てこすり(笑)
私は「音楽のルーツ」に非常に興味があり、文献に助けられながら聴いたりすることが多いのですが
日本人の演奏するブルースがブルースっぽく聴こえるだけでどうもしっくり来ないのは
その根本にあるものがお洒落に仕上がった英国ホワイトブルース体系であり、
血や汗、涙などの成分を多分に含んだ日本の炭鉱節とか豊作を祈願する歌とか大漁を祝う歌とかの
労働歌に端を発していないことが心に響かない理由なのかも知れないと思っています。
(日本ではその役割は演歌が担っているのかもしれませんが、昨今の紅白歌合戦での
色物演出が定着した演歌の役割は完全に終わったと思っています)
カントリーのミュージックエッセンスは常々「大らかさ」だと思っているのですが
日本でもカントリーミュージックが似合う風景もあることはあるのですが日本は地形的に
平野を抜け山道のトンネルを出たり入ったりしていると4~5時間程度で海に出るという
米国の風景みたいに1日走っても平野を抜けきらないといううんざりする広大さではないんですよね。
放牧、農作業しようと思ったら今日は天気がいいので朝っぱらからビール飲んで
目が覚めたら日が暮れていたみたいな一日は生真面目にスケジュール通りきっちり仕事をこなす
日本人的にはなかなかできない行動ですよね(笑)
カントリーミュージックを楽しむには心に「広大で天然の隙間」が必要なのかなと
思う今日この頃です。
「Dark End Of The Street」はリンダ・ロンシュタットさんもちゃかりカバーしました(笑)
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