2017-09

「はっぴいえんど」で考える日本のルーツ音楽 - 2015.05.08 Fri

はっぴいえんど特集が一段落したところで久々に縞梟的独善笑論文を(笑)

happy1.jpg

はっぴいえんどがデビューした頃、日本語ロック論争なるものがありまして
煽動主の内田裕也さんは「ロックは世界に通用するが日本語の歌は世界で通用しない」と
主張していて、ある意味間違ってないんですが、昨今の由紀さおりさんの歌が
日本語の意味を解釈せずともその楽曲の魅力が外人に伝わったり、はっぴいえんどの
風をあつめてが映画で採用されると、楽曲の素晴らしさに共鳴した外人が
意味も分からず、日本語で歌う様子がyoutubeに多数UPされる珍現象が起こったりして
時を超えいよいよ日本語の持つ美しい語感に外人も気づき始めたのかなと(笑)

それでいて今の日本は「いい曲」より「ヒット曲」を作ることにご執心で
日本語を捨ててまで、妙な英語歌詞の似たりよったりなラブソングばかり・・・
(参考)日本語歌詞は終わったのか?

以前ラジオを聞いていてこんなことがありました。
若い男性演歌歌手が「有名な○○先生に東北の川(広瀬川?)の歌を作ってもらったので
愛情込めて歌います」と。
しかしインタビュー聞いてるとまだこの川を実際に見てないというんですよ・・・
なんかDVDか何かで川の映像を見たイメージで歌っていると・・・
(新幹線に乗れば日帰りで見に行けるだろうって!ツッコミ)

この男性歌手は何を勘違いしているのか分かりませんが歌唱力というのは
カラオケで100点満点を出す巧さを指すのではなくその言葉(歌詞)で
情景を思い浮かばせる能力の高さだと思うのでこんな歌、どんなにいい歌詞で
どんなに上手く歌ったとしても絶対に人の心に入ってきませんよ(苦笑)

又オリジナルの曲作りが捗らないとどいつもこいつも原曲アーチストにも楽曲にも
思い入れの薄い感情で自分勝手な妙なアレンジでカバー・・・
もうね無理に心無い歌手にカバーさせるぐらいならレコード会社は
昔の元曲のリバイバルヒットを狙ったらどうかと思うんです。

そんな状況下、私が堕落して行く邦楽に本当の危機感を覚えたのは3.11の時です。

実際の被災者の方々、又悲惨な状況を目にしてショックを受けた非被災者の方々
それぞれにそれ相応の音楽が浮かんだのでしょうが、日本人の万人が共通とする
「心の救済歌」がなかったことは大きなショックでした。

NHKが「花が咲く」を一大プロモーションしているのを聴いても全く心動かず
多くの亡くなられた方々の無念が歌詞に反映されていないし、事実をあまりに
美化しすぎていることと無理に心に響かせようという美メロがインチキ臭くて
大嫌いでした。
むしろこの状況を歌い伝えるのにぴったりの昔の名曲がある筈だと考えましたが
残念ながら思い浮かばず、一部では阪神大震災の時に生まれた「満月の夕」が
兼任してましたが、私的にはこの歌ではありませんでした。

最近、邦楽の最大の弱点は「ルーツ音楽の欠如」ではないかと思っています。

日本のルーツ音楽は、ソウル・フラワー・モノノケ・サミットがレパートリーとしている
戦前戦後の流行り唄、労働歌、地方民謡、沖縄・アイヌ・朝鮮の民謡につながるのかなと
漠然と考えていたんですが、最近、無理に国内限定にしなくていいのではないかと
思うようになりました。

例えば「はっぴいえんど」の音はバッファロー・スプリングスフィールドや
プロコル・ハルムのサウンドエッセンスがベースになっていて、更にそれらを遡ると
黒人のR&Bに結びついていたり、リズムやメロディは日本で生まれた
純度100%の国産品ではなく極端なこといえばアフリカンビートに
たどり着いてもいいのではないかと。

私の時代はラジオをひねれば、はっぴいえんど周辺の音楽は常時かかってましたし
米軍基地も近いのでFENで24時間米POPSがかかっていました。

いわば当時のメディアは良い音楽をどんどん教えてくれたのです。

多感な10代の頃にいかに血や肉になるいい音楽と出会えるかというのは
その後の音楽との付き合いの上で非常に重要なことで
現在、問題なのはあまりに多くの音楽が溢れているので、その副作用で
商業ミュージックに毒されたメディア頼みでは、金が積まれたプロモート目的の
音楽ばかりが取り上げられ選択肢が狭まってしまい、結果その粗悪なコピー商品しか
生み出せないわけで、そのためルーツ音楽がますますぼやけてしまう。

そこでその対抗策として学校の音楽か国語の授業で宮沢賢治の小説を読むように
はっぴいえんどを聴くのはありだと思うのです。

happy3.jpg

70年代の音楽をルーツ音楽とするのは浅はかかもしれませんが、
そこを起点にして行けば必然的に60年代>50年代と遡って行くと思うのです。

聴いた上で興味が沸かないのであれば嗜好の問題なので仕方ありませんが
商業音楽の弊害で「はっぴいえんどを知らない」という事態をなんとか避けたいのです。
聴き手は難しいこと考えずに適当に聴いていればいいんですが
嗜好の押し付けは野暮なことは重々承知ですがいい音楽はやはり聴いて欲しい。

洋楽には制作背景がからんで、アルバム1枚を語れるというものが多いのですが
邦楽はとても少ない。
効率化で人を減らし、無駄を排除していたら、偶発的にいいものなんかできやしない。
できるのはマニュアルに沿った同じ形・味のハンバーガー音楽だけですよ。
(時々異物が混入することがあるので要注意(苦笑)
ファンには悪いけどルーツ音楽を持たない会員メンバー限定のお布施宗教音楽である
エグザイルとかAKB48とか嵐を聴いて育ったらそれ以上もそれ以下の音楽も
生み出せませんよ・・・
(点だけの音楽は円にはなりえない)

日本のルーツ音楽の種を蒔くサンプル条件として、

1)「日本語」の語感の素晴らしさを活かしてあること
2)サンプリングなど安易な方法の楽曲作りではなく生楽器による人間のリズムであること
3) 曲のテーマを恋や愛から離れ、もっと普遍的なテーマを扱っていること
4) 原風景の色をその時代の言葉で表現していること
5)関連した音楽の点を結ぶと円になる
[はっぴいえんど関連のアルバムレビューはこちらを参照]

これらの条件に当てはまるのがまさに「はっぴいえんど」ではないかと。

で冒頭にも書いたように「日本語の歌は世界に通用しない」という長年のジレンマに躓くのですが、
ちょっと待ってください。

我々、日本人は外人の曲を聴く時、英語を100%理解して聴いているんですか?

違うでしょう。
多分、メロディやリズムに英語の語感が合ってると思って聴き流しているだけなんです。
つまり、ルーツ音楽のメロディやリズムは日本独特のものである必要はないんです。

それとこれはとても重要なことですが、商業音楽はびこる状況で邦楽が世界に通用するか
どうかは、外人コンプレックスの強い日本人のさもしい妄想でさして大したことではありません。

新しい歌はやはりもうスタジアム級の万単位のお客さんを盛り上げる曲しか作れない
サザンやストーンズ、ポール・マッカトニーみたいな昔の名前で出ています的な爺軍団の
懐メロではなく、時代を背負った平成生まれの20歳前後の感性から生まれて欲しいものです。
(勘違いしないで欲しいのは、はっぴいえんどマンセーなchildrenを作ることではなく
はっぴいえんどを基にその枝葉を伸ばす才能を開花してほしいのです)
聴き手が選択能力を磨く意識変革が求められるこの困難な時代に
もしかすると一生懸命に新しい物を創ろうとしている若者の音楽を萎縮させているのは
いつまでたってもレトロな音楽にしがみついているこちらに非があるのかもしれませんが
いい詩を書くな、いい楽曲だなと感じる曲も少なくありませんが
今の邦楽の状況ではそれらにスポットが当たるチャンスがあまりにも少なすぎる。

マスコミが頼りにならないなら、NPOで市民活動するしかねえなと(笑)
もうちょっと金があれば本気でこういう運動を推進したいのですが
今はちまちま愚痴まじりでブログを手段に草の根運動を続けるしかないのかなと・・・

時間をかけて種を蒔き、邦楽がルーツ音楽を持った時、深刻な困難にぶちあたっても
日本人が共通の概念で想起できる(日本人がアイデンティティを共有できる)心の救済歌の
花が咲くはずです。

ね?どうです文部省のお偉いさん、はっぴいえんどで日本の音楽を豊かにしてみませんか?
ご一考くださいませ。





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