2018-02

HOSONO HOUSE/細野晴臣 - 1973.05.25 Fri









[sales data]
1973年5月25日
[producer]
細野晴臣
[member]
細野晴臣(vo/b/g/etc)
松任谷正隆(p/etc)
鈴木茂(g)
林立夫(ds)
駒沢裕城(steel g)




個人的にYMOメンバーで特に興味があったのは細野さんでした。
もっさりした表情でボソボソ話すホンワカした人柄と音楽が妙に一致していて、
一時その憧れからベースを購入したこともありましたが全く扱えずすぐ友人に転売しました(苦笑)

本作は事実上はっぴいえんど解散後に埼玉県狭山市のアメリカ村にあった細野さんの自宅で
制作されたソロ1st(録音期間:1973/2/15~3/16)
エンジニアの吉野金次氏のよると
「基本的にザ・バンドのミュージック・フロム・ザ・ビッグピンクの雰囲気を狙ってたんですよ」
6畳の部屋にスタジオとコントロール・ルームを設置し、何人ものミュージシャンやスタッフが
泊まりがけでレコーディングをし、食事も細野さんの奥さん一人が炊き出しの様相で
まるでキャンプのようなレコーディングだったそうです。
キャラメル・ママとしての初めての録音でもあるのですが、まだこの頃はそのバンドのネーミングが
ついてなかったようです。

まだほんのりとはっぴいえんどの残り香もあり、細野晴臣という人柄がそのまま
アルバムに詰め込まれている好歌アルバムですが、制作時はかなり悩みも多かったようです。
ラストアルバムとなったHAPPYENDの海外録音の時にリトル・フィートのレコーディングを見たり、
ヴァン・ダイク・パークスの音作りの現場を体験した衝撃の影響がジワジワ大きくなるも
それらを自分の中で整理できないまま、初のソロアルバム制作に何をどうしていいかわからず
かなりてんぱっていたようです(精神的にもかなり不安定だったようです)

細野談
「当時の僕は終末感にさいなまれ、その上、ある精神的なショックのフラッシュ・バックもあって
身も心もズタズタに分裂してしまうような状態に落ち込んでいた。」

この状況を脱する契機になったのがヴァン・ダイクの「ディスカバー・アメリカ」だったそうで
このアルバムを徹底的に聞き込んでいくうちに感覚が過去に戻っていったそうです。



細野談
「ロック・ビートがイヤになったんだよ。アメリカの歴史を遡って、例えば子供の頃に聞いた
ハリウッドの映画音楽とか、そういうノスタルジックな世界を思い出したんだね。
1920年代のポピュラーと民族音楽。
昔から聴いてたけど、特に熱中し始めたのはこのレコーディングの途中から。
それと同時に、精神的な不安定さからジェイムス・テイラーとかああいうシンガー・ソングライターの
暖かい音楽に救いを求めていた。
そのおかげで狭山では、好きな音楽がいっぱい増えて、最初は点だったのが線に繋がった。
ただ楽しむんじゃなくて、ルーツを探っていく。深い勉強をしたおかげなんです。」


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トロピカル・ダンディ/細野晴臣 - 1975.06.25 Wed









[sales data]
1975年6月25日
[producer]
細野晴臣
[member]
細野晴臣(vo/b/etc)
松任谷正隆(p/hamond)
鈴木茂(g)
林立夫(ds/per)
佐藤博(p/clavinet)
浜口茂外也(per)
矢野誠(strings arrange)
伊藤銀次(g)
吉田美奈子(bvo)
久保田麻琴(bvo)
福島照之(tp)
駒沢裕城(steel g)
国吉征之(fl)
山下洋治(ukulele)
クレア・フランシス(voice)
伊集加代子(bvo)
南こうせつ(bvo)




ソロアルバムとしてはHOSONO HOUSE以来、約2年ぶりですが、
この間の細野さんはキャラメル・ママ~ティン・パン・アレイのメンバーとして
数多のレコーディングに参加し(参考:細野晴臣の歌謡曲
知らず知らず売れっ子セッションマンとして人脈を広げベルウッドから
クラウン・レコードに移籍。

今回のソロアルバムは今まで自分が経験してきたノスタルジックな音楽を
なんとかして自分の音楽に生かしたいと思い、
「僕の中では、チャイニーズな感じとカリプソとそのぐらいのアイデアしかなかったんだ」と
アイディアが煮詰まって悶々としていた時に
沖縄旅行帰りの久保田麻琴氏が細野さんの家に遊びにきて
「いったい何が好きなのか?どんなのを作るのか?」と質問され返事に窮していると
「細野さんはトロピカル好きでしょ。トロピカルが好きなら、トロピカルをやれよ。
細野さんはトロピカル・ダンディーだよ。」と言われ

細野談
「人にいわれてはじめて気がついて。そうか、好きなことをやればいいんだと思って(笑)
この言葉の持つイメージを自分の中にとりこむ事によって僕は救われたような気がしました。
理由も聞かずに、トロピカル・ダンディー、いいなと思って、アルバム・タイトルに
してしまいました」

ジャケット画はヤギヤスオ氏で最初、タイタニック号が沈む図柄にする構想もあったそうですが
細野氏がはっぴいえんど結成時に影響を受けていたプロコル・ハルムのソルティ・ドッグを
モチーフしたものになり、横にタイタニック号が描かれています。



余談ですが細野さんはタイタニック号の悲劇で生き残った日本人、細野財閥の末裔にあたります。
又細野氏がヤギ氏を久保田氏に紹介した縁で夕焼け楽団のアルバムジャケットも
ヤギ氏が手がけることになりました。)



会話は更に盛り上がり、久保田氏の沖縄みやげ

kina_20150402180236d18.jpg

まだ沖縄限定発売だった喜納昌吉さんのハイサイおじさんのシングルEPに
強い衝撃を受け面白い音楽は、全部ゴッタ煮(チャンプルー)なんだと意識した翌日、
田中唯士(S-KEN)氏に唐突に「細野さん、チャイニーズ・エレガンスはいいですね」と言われ
細野談
「あっ!それだっ!て(笑)。またもや。それで僕のなかで、トロピカルとチャイニーズと
エレガンスという言葉が、はじめてコンセプトになったんです」

そして重要キーワードからコンセプトが形になってきた細野氏はナチュラルハイな状態となり
追い討ちをかけるようにマーティン・デニーの音楽に出会い、
細野談
「麻薬みたいななんか恐ろしいものを打たれちゃった感じだったね。それを聞いたとたんに
トリップが始まっちゃった(笑)。
はっぴいえんどの頃から、居心地の悪い世の中だった。日本は好きだけど、音楽やってると、
そうはいかない。いつも文化の摩擦を感じる。あの頃、それを裏返してくれたのが
マーティン・デニーの音楽(エキゾチック・サウンド)だった。
ネガティブに見えていた日本のあれこれが違った風景に見えてくる、面白くなってしまう。
異邦人の目を初めて持てたんだ」



「トロピカル・ダンディ」~「泰安洋行」~「はらいそ」をトロピカル3部作と称しますが
細野さんの脳内でモヤモヤしていた不明瞭なアイディアを久保田さんと田中さんの
何気ない言葉が形を明確にしマーティン・デニーの音楽に出会い
「西洋から見た東洋」というコンセプトが開眼し
細野さんが「ソイ・ソース(=醤油)ミュージック」と名づけたサウンドがYMOにつながって行く
原点だったことを前知識に聴き直すと、このアルバムはとても恐ろしいコンセプトアルバム
だったことに身震いせずにはいられません(笑)

ハリー細野 クラウン・イヤーズ 1974-1977/細野晴臣 - 1976.05.08 Sat









[sales data]
2006年12月20日
[producer]
細野晴臣
[member]
細野晴臣(vo/b/etc)
鈴木茂(g)
林立夫(ds)
矢野顕子(pf)
坂本龍一(kbd)
田中章弘(b)
浜口茂外也(perc)
村岡健(sax)
羽鳥幸次(tp)
新井英治(tb)





細野晴臣さんのクラウン時代作品に驚きの未発表音源&映像を収録した秀逸BOX。
(当時を考証するための資料も大変充実しています)

Disk1:トロピカル・ダンディ(1975年)
Disk2:泰安洋行(1976年)
Disk3:ハリー細野&ティン・パン・アレイ in 中華街(1976/5/8)
Disk4:ハリー細野&ティン・パン・アレイ(1975-1976)

今回の目玉は未発表ボーナストラック等ありがちなものではなくファンの間では伝説の
「中華街ライヴ」やティン・パン・アレイの「ファースト&ラスト・コンサート・ツアー」など
レア映像収録で買い直しも止む無しの美味しい内容テンコ盛り。
(このBOXが発売された前後ヤフオクには細野さんのクラウン時代の作品が大量に
出品されていたので皆、買い換えたんでしょうね(笑)

映像特典の中華街ライヴとは細野さんの立案で、ヴァン・ダイク・パークスが
アメリカでカリビアン・レヴューみたいなコンベンションライヴをやったことを模倣して
中華街で無国籍な雰囲気でやりたいというのが発端となって実現したそうです。

長門芳郎(当時ティン・パン・アレイのマネージャー)談
「76年のティン・パン・アレーのレコード・リリース、プロモーションに関する年間計画
みたいなものがあって、鈴木茂のセカンド、細野さんのセカンド・アルバムをいつ出すとか。
3ヶ月おきぐらいでティン・パン関連の作品をリリースする予定があって、その流れの中で、
中華街でのディナー・ショー形式のコンヴェンション・ライヴのアイデアが生まれたんだ」

この映像は地方のフィルムコンサート用に収録したものだそうですが実際には
使われず、30年経って奇跡のお蔵出しとなったわけですが、興味深いのは
解釈が広がる音楽は映像がなかった頃の音楽の方が圧倒的に多いんですよね。
目で聴いてる音楽は目を閉じたらあっという間に泡となって消えてしまいますから・・・









泰安洋行/細野晴臣 - 1976.07.25 Sun









[sales data]
1976年7月25日
[producer]
細野晴臣
[member]
細野晴臣(vo/b/etc)
鈴木茂(g)
林立夫(ds/per)
矢野顕子(p)
浜口茂外也(per)
佐藤博(p/etc)
宿霧十軒(b)
岡田徹(per/acordion)
谷口邦夫(steel g)
岡崎弘(sax)
村岡建(sax)
砂原稜三(sax)
山下よた郎(船長さんの声)
大瀧詠一(bvo)
小坂忠(bvo)
大貫妙子(bvo)
久保田麻琴(bvo)
中根康旨(bvo)
市橋一宏(bvo)
川田琉球舞踊団(蝶々さんの声)




トロピカル3部作第2弾。
細野談
マーティン・デニーの影響は、このアルバムはかなり強いです」

アルバムタイトルはティン・パン・アレーの「ファースト&ラスト・コンサート・ツアー」で
訪れた長崎(1975年4月11日)にあった雑貨店の名前だそうです。

taianyoko.jpg

前作の「ソイ・ソース・ミュージック」を発展させた「チャンキー・ミュージック」
(ニューオリンズに惹かれていた細野さんが、その地の「ごった煮料理ガンボ」に
相当するものとしてチャンコ鍋を思いつき、それに「ファンキー」をかけたもの(笑)

このアルバムを作る頃はトロピカル・ダンディーを制作していた時のナチュラル・ハイな
状態から徐々に下降線を辿っていて、地上スレスレになった時に飛んでいた当時のことを
思い出してイメージをまとめたそうです。

細野さんの声質って間違ってもボーカリストのそれではないのですが、
ブライアン・イーノ同様何とも表現できない味わいがあるのです。
ご自身は最新テクノロジーを駆使したアンビエントにご執心ですが細野さんの声そのものが
アンビエント(偏狭音楽)な魅力に満ち溢れているんですよね(笑)

今でこそワールドミュージックはジャンル分けが可能なほど市場に溢れ、
さほど目新しいものではなくなりましたが当時の日本人のサウンドクリエイターが
商業音楽とは著しく距離を置くこのジャンルとのミックスチャーをやっていたというのが
当時凄かったんだろうなと思いますが、今では「もっと凄いこと」だったんだと実感します。
今はこういった先人達の偉業のおかげであらゆるジャンルの音楽を聴く事ができるのに
何で今の曲は皆同じに聴こえるんでしょうか?
[ポップ音楽はここ50年で「よりうるさく、単純に]

音楽の視聴ジャンルがワールドワイドになった事が逆に演る方も聴く方もちんけな
ジャパニーズ・ポップスに簡単に流れていってしまう事に苛立ちは隠せません
(良質のルーツ音楽を基にもたないコピー物が更に劣悪なコピー物を生みだす悪循環)
未だに縞梟のおっさんを満足させてくれるのが、70年代の細野晴臣の音楽っておかしいだろ・・・
表現したい音楽ではなく売れる商業音楽を煽りたて個性を抹殺しベスト盤、企画物、ダンス物を
捨てる感覚で大量流通させちゃった反動で独自性を放棄した日本の音楽市場が崩壊するのは
もはや時間の問題(苦笑)



蝶々-Sanについての細野談
「最初ね、サディスティック・ミカ・バンドってあったでしょ?そのーそれ用に、曲を頼まれたの。
ミカのイメージで、作ってみたのね。詞をね。曲が間に合わなくてさ。そんであきらめて
自分で歌うんで、ああいう風になっちゃったんだよ。ほとんど頭がおかしい世界ですよ、これ。
意味は何だっていわれたら困っちゃう(笑)」

はらいそ/細野晴臣 - 1978.04.25 Tue









[sales data]
1978年4月25日
[producer]
細野晴臣
[member]
細野晴臣(vo/b/synthe/etc)
鈴木茂(g)
徳武弘文(g)
林立夫(ds)
高橋幸宏(ds)
浜口茂外也(per)
斉藤ノブ(per)
佐藤博(p/key/synthe)
坂本龍一(p/key/synthe)
武川雅寛(vl)
大貫妙子(bvo)
ティーブ・釜萢(vo)
かまやつひろし(bvo)
川田知子(bvo)
あがた森魚(bvo)
東京シャイネス・ボーイズ(bvo)




コロンビアからアルファレコードに移籍。

ハリー細野とイエロー・マジック・バンド名義による「トロピカル3部作」第三弾。

ポルトガル語でパライーソ=楽園なんだそうで、日本では隠れキシリタン以来
「はらいそ」と言うそうです。

トロピカル・ダンディ~泰安洋行の流れを組むチャンキー・ミュージックですが
サウンド的にシンセの使用率が高まり、収録曲の「ファムファタール」で
細野&坂本&高橋の3人が初めて揃い、レコーディング終了後、
細野氏が坂本&高橋を自宅に呼び、炬燵を囲んで焼きおにぎりを食べながら
かねてより暖めていたYMO構想(「外人から見た誤解された東洋のイメージ」を
エレクトリック・ディスコ的なアレンジで表現する)を説明しそのコンセプトに
意気投合しバンド結成となるためYMOの源とされる作品です。



こう書くとYMO誕生前夜、細野さんのシナリオ通りスムーズに事が運び、
ミュージシャンとして気持ちが充実したやる気に満ちた内容と思われるかも
しれませんが、実は先にYMOの原型に近いアイディアで一番の音楽的理解者だった
林立夫&佐藤博と女性ボーカル(Mannaさん?)を入れたバンドを組んで

tin_pan_alley_yellow_magic_carnival1.jpg

アルファに移籍するつもりだったのが、ご破算になり(林立夫氏が突然辞退)
相当ショックを受けて失意の状態でのレコーディングだったようです。

細野氏談
「落ち込んで移籍したんですよ。どうしようかなあ、一人になっちゃったなあと
思って。それでとりあえず、ソロ・アルバムを作ることになるんですが・・・」

坂本氏談
「ほとんど言葉がないというか、喋らずに。顔色を伺いながら、黙々と。
何をやればいいのか、いいのか悪いのかもわからない。ディレクションがないという」



[YMOネタ]
細野氏談(1977年の回想)
「これは、本当に真面目にそう思ってたんだけど、釈迦が29歳で出家して、
30歳でなにかがわかったっていうことがすごく気になってて、30歳の時までに、
ひとつの仕事(ミュージック・ビジネス)を完成させなきゃいけないと思ったんだ。
(釈迦に負けたら人生に負けるような気がしていたの(笑)
自分の社会的なアイデンティティを確立させなきゃいけない、
いい音楽をやり続けるためにも、成功しなきゃいけないって思ったの。
初めて、そういうふうに思ったんだよ。
トロピカル・ダンディ&泰安洋行が、当時かなり違和感を持って捉えられていたため
これを商品にするにはどうしたらいいか考え、当時流行っていたディスコティックで
ダンス音楽の枠を利用して、今までのちょっとへんてこりんな世界をのっけてやれば、
すんなり伝わるんじゃないかという。
それで林立夫氏ら周りにいる人たちと、なにかをでっち上げようということで
始まったんです(この企画は頓挫)
そしてアルファ・レコード設立レセプションで記者会見があって、とっさに
「イエロー・マジック・オーケストラ」という名前を思いついたんで、
1年以内にそれをやりますと発表しちゃったんです。
「イエロー・マジック・バンド」だったかもしれない、最初は。
とにかくそれをやるんだってことだけは自分の中で決めてました。」

はらいそ最後に「この次はモアベターよ」というセリフが決意表明として
収録されています。

コチンの月/細野晴臣+横尾忠則 - 1978.09.20 Wed









[sales data]
1978年9月20日
[producer]
細野晴臣
横尾忠則
[member]
細野晴臣(programming/etc)
坂本龍一(key)
佐藤博(key)
松武秀樹(programming)




トロピカル3部作とYMO結成の合間に横尾忠則氏とインドに赴き(1978/4/2~4/21)
その滞在時の体験を具音化した観光物と呼ばれる作品です。

hosono yokoo

横尾談
「この頃の細野さんは自分のやっている音楽に疑問を抱いていたので
とにかく一回インドに行って、インドの旅をしながら、インドの音楽を聴いたり
映画観たり、料理を食べたり。そういったところからさ、ちょっとサディスティックな
ところがあって、細野さんを、壊しちゃおうと思ったわけ」

とは言うものの実は横尾さんが、レコード会社からインドをモチーフにした
アルバム制作を頼まれていて、インドの音を録ってきて、それを絵のように
コラージュして何か作りましょうという企画にいつの間にか旅行と称して誘われた
細野さんが計画的に巻き込まれ、音楽責任者に祭り上げられたというアルバムです(笑)

細野談
「横尾忠則さんにはめられて(笑)どうしてもインド旅行の印象を音楽に
まとめなければいけない状況で、丁度当時登場した音楽用のコンピューターに
興味が沸き、何も分からないままいじくりまわして作りました。
苦痛ではなかったですが、混乱はしてました。プロデュサーの横尾さんは
時々、現れては、なんかひとことふたこと言って帰ってっちゃう(笑)
これが横尾さんのやり方なんだって思ってましたよ。横尾さんが来なければ
来ないほど「横尾さんのためにつくってるんだ」という感じがしましたから。
プロデューサーは、いればいいんです。その場じゃなくても、存在があるだけで。
あれが本当のプロデュースです」

横尾談
「コンセプトとか考え方はあるけどさ、技術がない素人プロデューサーが
細野くんを追い込んで、ノイローゼにしただけだったね(笑)
細野くんは、僕がスタジオに行くとうれしい顔をしないんだよね。
なんか迷惑そうな感じで、お互いに意思の疎通がまったくできてない。
本当は僕も毎日行かないといけないんだけど、行っても何の役にも立たないんで
だからもうほっとくしかないかなと思ってさ。
だけどね、意思の疎通のできないものができればいいなぐらいに思ってたのね。
どっちにしても変なものができたとしても、僕の責任にならないと思ってたのよ。
いいものができれば、仕掛けた僕のものになってさ、失敗すりゃあ細野さんで
いいんじゃないかなっていう、そういうふうに思ってたから、すごい気が楽だったのね。
できあがったのを聴いた時いいのか悪いのか全然わからなかった」(笑)



[YMOネタ]
細野さんがコンピュータを見よう見真似で初めて使ったアルバムということで
YMOに直結する重要アルバムと考えられていますが、実はこのアルバムの内容が
重要なのではなく、道中の細野さんの思考のリセットこそが最重要なのです。

というのもこのインド旅行中、細野さんは下痢と嘔吐で体調を崩し、
90%以上はホテルで寝込んでたんでいたというハードな状況だったようなのですが、
(収録トラックのマドラス総領事夫人とは霊的能力の持ち主でインド旅行で
瀕死の状態だった細野&横尾氏を不思議な力で回復させた命の恩人です(笑)
インドでの体験は過去を忘れるぐらい、衝撃的だったそうで、
細野談
「ほんとに体の毒素が全部出ちゃって、おかげで僕はそれまでやってきた、
トロピカル、あるいは、エキゾチシズム、そういうものが全部、体から出ちゃいまして、
真っ白になっちゃったんです」

クリエイティヴな部分で燃焼した感がありエキゾチシズムは居心地いいけど、
ずっといられる場所じゃないと悟り、まっさらになった無垢な状態に
ドド~ンと入ってきたのが

横尾さんから聴かされたクラフトワークのヨーロッパ特急。

europe.jpg

横尾談
「インドではズーッと二人で音楽やスピリチュアルな話をし続けていた。
この頃、僕はジャーマン・コンテンポラリー・ロックに心酔していて、
バスでの移動中にクラフトワークの話をしたんだけれども、細野くんは知らなかった。
ジャーマン・ロックの面白いところをぜんぜん知らないんですよ。
だから、これは絶対聴いてもらいたいって思ってさ。
彼もね、大きく転換をしたかったんですよ。そういった未知のジャンルの音楽を
取り入れたかったんでしょうね」

細野談
「インドとクラフトワークが混じったものが、実は、YMOの先駆けだったと思いますね。
古いエキゾチック・サウンドとドイツのシンセサイザーの音楽とが、グワーッと頭の中で
一緒になってきてね。これは、やりたいと思って。
インド体験っていうのは、僕にとって大きな変わりめになっちゃったわけですが、
それ以来僕、人間が変わっちゃいまして。横尾さんと合わなかったらインド旅行は
なかったし、インド旅行がなかったら、YMOはなかった。全てが関係しているんだ。」

フィルハーモニー/細野晴臣 - 1982.05.21 Fri









[sales data]
1982年5月21日
[producer]
細野晴臣
[member]
細野晴臣
松武秀樹
高橋幸宏
加藤和彦
上野耕路
立花ハジメ
FILMS




YMO在籍時「テクノデリック」と「浮気なぼくら」の間に高橋幸宏と立ち上げた
YENレーベル第1弾。
(レコードを予約購入すると「夢見る約束」のソノシートがついてきたようです)

hosono_haruomi_philharmony2.jpg

細野氏曰く
「テクノデリックでYMOは自分の中で終わってしまったと思ったので即興で作ったソロ」

元々細野さんの音楽コンセプトでスタートしたYMOはだんだん歌謡曲化してしまったので
初期の実験的な音楽作りに原点回帰し、現在に至るアンビエント作品の走りで
YMOから細野色が薄れてきたと不満を感じていたファンを喜ばせました。

私が細野さんを好きな理由は新しい音楽に対しての飽くなき情熱といいましょうか、
ヒット性を排除し万人受けしない自分の嗜好音楽を提供し、それに共感する特異なファンを
取り込み、40年間という膨大な創作活動を今尚続けていることです。
(アンビエント物なんてごく一部の人しか聴きませんけどね(笑)

仮に細野さんの楽曲が間違って大ヒットしてしまったら、こんな趣味的創作活動は
レコード会社の制約が入って自由きままにできなかったと思いますが、
その点コアなファンに支えられそこそこのセールスを保持していることが
細野さんの強みでしょうか。

We Wish You a Merry Christmas/細野晴臣・越美晴・戸川純他 - 1983.11.28 Mon









[sales data]
1983/11/28
[producer]
高橋信之
高橋幸宏
[member]
細野晴臣
ムーンライダース
越美晴
上野耕路
戸川純
ピエール・バルー
大貫妙子
伊藤銀次
立花ハジメ
高橋幸宏




皆さんはどんな音楽を聴いてクリスマスをお過ごしでしょうか?

世の中、クリスマス企画アルバムは正規のものからバッタ物までゴマンとありますが
好きなアーチストが複数参加しているYENレーベルオールスターズ+αによる
クリスマス企画アルバム(降誕節を除き全曲オリジナル)





[おまけ]また会う日まで(賛美歌405番)from YEN卒業記念アルバム

超時空コロダスタン旅行記/アポジー&ペリジー - 1984.08.25 Sat









[sales data]
1984/8/25
[producer]
細野晴臣
[member]
アポジー(三宅裕司)
ペリジー(戸川純)
プロフェッサー・パーセク(山上浩史)
アニマロイドMV II(越美晴)
オーガス(森の木合唱団)
クイーン・グレイシャー(橋本みゆき)
篠崎光正(ナレーション)
福岡ユタカ
etc




冒頭ナレーション
「21世紀の終わり、地球はブラックパワーの支配する超管理社会になっていて
人々は6階級の市民に分化され、社会の富の増大のための歯車にされていた。
天才科学者パーセクは人間性優先社会の回復のためにある研究していたが
宇宙犯罪人として指名手配され、地球を逃れ研究を進め、人間社会変革の使命を託した
2台のロボット、アポジー&ペリジー完成間近な時、秘密研究所に宇宙警察のミサイルが
発射された!」

という感じで始まる細野晴臣プロデュースで三宅裕司、戸川純、越美晴等が匿名で参加した
YENレーベルオールスター参加企画のSFコンセプトアルバム。
(「月世界旅行」「真空キッス」は松本隆 & 細野晴臣コンビ作品)

細野さんから簡単なストーリー展開だけ説明を受け、上野耕路、越美晴、福岡ユタカ等が
パート音楽の楽曲制作を担当し、YEN的なテクノポップな楽曲でSF&ファンタジーな世界観を
表現しているのですが、橋本みゆき(楽曲:増田隆宣)のクイーン・グレイシャーだけ
ハードロックで思いっきり浮いています(笑)



アポジー&ペリジーはニッカウヰスキーCMでお茶の間にも登場し人気を博しましたが
歌は松任谷由実の「不思議な体験」でした

Making of Non-Standard Music/Making of Monad Music/細野晴臣 - 1984.11.10 Sat









[sales data]
1984/11/10
[producer]
細野晴臣
[member]
細野晴臣 with Friends of Earth

Making_of_NON-STANDARD_MUSIC1.jpg
Making_of_NON-STANDARD_MUSIC2.jpg


83年YMO散開後、各メンバーはそれぞれソロワークを通じて自身のアフターテクノ道へ
進んで行くのですが、細野氏は更に密室色合いを濃くした形の宅録技術を世に広げるため
アルファからテイチクに移籍し「ノン・スタンダードレーベル」「モナドレーベル」の
2つのレーベルを立ち上げノン・スタンダードレーベルの第一弾として5万枚限定で
リリースされた12インチシングル。
長らくS・F・XのCD内に一緒に収録されていましたが2001年に単独でCD化されました。

9434186_o1.jpg

ジャケットの細野氏の手の内で光る物体はレーベル・キャラクターの「グロビュールちゃん」

5d2b8e7f.jpg

収録曲の「Non-Standard-Mixture」はナムコのCMタイアップ曲で
後日、大瀧詠一氏から彼のご子息のフェヴァリット・ソングだという便りを貰い
大変感激したとのことです(笑)



Medium Compositionのミディアムの意は中位という意味ではなく媒体の単数形で
細野氏自身が音を感じてすぐに表す媒体でありたいということから思いついた
即興作品の作曲方法でいずれそれらの楽曲をまとめて「CM」というタイトルで
アルバムを出すことになるだろうと記しています。

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