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2020-05

Ziggy Stardust:The Motion Picture/David Bowie - 1973.07.03 Tue









[sales data]
1983/10
[producer]
David Bowie
Mike Moran
[member]
David Bowie(vo/g/sax/etc)
Mick Ronson(g/b/vo)
Trevor Bolder(b)
Mick Woodmansey(ds)
Mike Garson(piano/mellotron.org)
Ken Fordham(sax)
John Hutchinson(g/bvo)
Brian Wilshaw(sax/fl)
Geoffrey MacCormack(bvo/per)






「ジギー・スターダスト」時期の公式ライヴアルバムは1972年のサンタモニカのライヴが
後年リリースされましたが、スタジオバージョンがあまりの完成度のため、
ライブ盤をリリースするのが躊躇われたと思うのですが、「ジギー・スターダスト」のライヴは
記録映画サントラとしてリリースされた本作品しかありませんでした。

このライヴは1年半もの長いワールドツアーで「ジギー」という虚像と「ボウイ」としての
実体の境目がなくなってしまった1973年7月3日、事前告知なく(バンドメンバーもスタッフも
知らなかったらしいです)突如ボウイが「ジギー」を否定し引退宣言をした
ハマースミス・オデオンのライヴ。

ボウイMC
「今回のツアーは自分の人生で最高のものになった。中でも今日のステージは一生忘れないだろう。
なぜならツアーの最終日というだけではなく、このバンドも今日で最後だからだ。ありがとう。」
(場内騒然・・・)

ミック・ウッドマンジー談
「付き合い始めの頃は一緒に笑ったりクラブに行ったりしていたけど、
あいつは段々キャラクターに入り込んでいった。
ステージから下りてもジギー・スターダストとしてインタビューを受けている。
タクシーに一緒に乗っても宇宙人と同乗しているような感じだった。」

ボウイ談
「ぼくもジギーに魅せられていたよ。昼も夜も、あの人物になりきるのはとても簡単なことだった。
僕はジギー・スターダストになったんだ。幻想の中で、救いようもないくらい自分を見失っていたのさ。」

ジギー・スターダストという巨大な虚像に憑依されたデヴィッド・ボウイが、
自分自身(人間)を取り戻す決断をしたのはもしかしたら生きるか死ぬかという
究極の選択ではなかったかと。

このライヴアルバムは音が悪くボウイファンからあまり評判がよくないのですが
トニー・ヴィスコンティがプロデュースした30周年記念盤は音質が向上している
とのことですが、残念ながらアンコールに飛び入りしたジェフ・ベックとの共演音源が
権利関係で映画同様カットされているので、聴きたい人はSUPER GOLDEN RADIO SHOWSなどの
コレクター盤を買いましょう。

david_bowie_and_jeff_beck.jpg jeff beck

「運命の5年間」を待たずに1年半の間でしたが、ジギーは「ロックン・ロールの自殺者」
としてボウイ自身に葬りさられることになります。

Pin Ups/David Bowie - 1973.10.19 Fri









[sales data]
1973/10/19
[producer]
Ken Scott
David Bowie
[member]
David Bowie(vo/g/sax/etc)
Mick Ronson(g/p)
Trevor Bolder(b)
Aynsley Dunbar(ds)
*****
Mike Garson(p/org)
Ken Fordham(sax)
G.A. MacCormack(bvo)
Ron Wood(g)




突然のジギー・スターダスト引退宣言直後にリリースされたヤードバーズ、フー、ゼム、
ピンクフロイドなどの全曲カバーの異色作。
(原曲をかなりいじっているので単なるカバーではありません)

ジギーを演じながらの時期に制作されたためジャケットの内外にはジギーの写真が写っているのですが、
ボウイが全力で取り組んでいたのは架空の「ジギー」から現実の「ボウイ」に戻ることで、
スパイダース・フロム・マースの(ドラムはエインズレー・ダンバーに交代)小気味良い演奏をバックに
リラックスして楽しそうに歌っているのが伝わってきます。
(トップギアで全速力で駆け抜けたHighwayを降り、山道をロウギアでゆっくり下るイメージ)

このアルバムを最後に良きパートナーだったケン・スコットやミック・ロンソンと袂を別ち、
新たなサウンド作りに挑戦するのですが、ジギー後遺症は重い負担となり、
ボウイにはしばらく受難の時期が続きます。
ちなみにジャケット横の女性は1960年代の元祖森高?ミニスカ女王「ツィッギー」さんです。

David+Bowie+Sorrow+457782.jpg 52065688.jpg

ケン・スコット談
「デイヴィッドは、一緒に仕事した内で、もっとも驚異的なヴォーカリストだ。
私がプロデュースした4枚のアルバムで、ヴォーカルの95%は1回のテイクで済んでる。
最初にレベル合わせをしたら、最後までそれで行ける。ピッチ補正もパンチインも何も要らない。
1テイクで完璧なんだ。」



(PS)
ロン・ウッドがゲスト参加していますが、ロンによると同時期 I'VE GOT MY OWN ALBUM TO DOの
デモ録音にボウイは参加したようですが、アルバムにはノンクレジットです。

Diamond Dogs/David Bowie - 1974.05.24 Fri









[sales data]
1974/5/24
[producer]
David Bowie
[member]
David Bowie(vo/g/sax/etc)
Earl Slick(g)
Mike Garson(key)
Herbie Flowers(b)
Tony Newman(ds)
Aynsley Dunbar(ds)
Alan Parker(g)
Tony Visconti(strings)




デヴィッド・ボウイ単独での初プロデュース作品。

「これはロックン・ロールなんかじゃない!大量虐殺だ!」

スパイダースと別れソロ活動を再開したボウイはジョージ・オーウェル原作「1984年」の
「モダニズムの最終地は人間性や生命を否定する悪夢のような社会だった」というモチーフに
インスパイアされミュージカル化に取り組むもオーウェル未亡人から劇場上演権を得られず
「自らが半人半獣の姿で退廃した未来を予言する」というコンセプトに変更して制作された
作品です。
(オリジナル盤のジャケットイラストはボウイの犬の下半身には性器が描かれていたため
即回収となり回収後、黒塗りにされて再プレスされたそうです(笑)

david2.jpg

この頃、作家ウィリアム・バロウズを紹介され、彼の影響で「カットアップ」という手法で
歌詞を作成しています。

ボウイ談
「僕はあらゆるものを破壊したいと思っているんだ。僕の作品はまだまだ論理的すぎる。
だからこの手法でさらに壊す必要があったんだ。」

ジギースターダストのイメージ脱却の新たな試みは最初受けが悪く「思い上がり」「話題性狙い」など
批判を受けていたようですが、現実社会のモダニズムへの危機感が
(オイル・ショック/ウォーター・ゲイト事件など)聴き手に共感の和を広げ又も時代が
ボウイの感性に追いついた作品。

bluesuit.jpg

音には現れていませんがこの頃マネージャーとの金銭トラブルやバンドとのいざこざに
巻き込まれ、現実逃避のための薬漬けで死の直前まで憔悴していたようです。
(この頃の写真や映像を見るとまさにガリガリ君です)



スパイダースからはマイク・ガーソンとエインズレー・ダンバーが引き続き参加し
特にマイク・ガーソンとボウイは長い付き合いとなります。

david4.jpg

マイク・ガーソン談
「最初に起用されたのは1972年の8週間。それから2年間、彼は5つのバンドを渡り歩いたけど、
俺以外は全員クビになってしまった。
それから1975年ごろ、「ヤング・アメリカン」のツアーが終わってからニューヨークの彼の元を
訪ねたら「マイク、これから20年一緒にやろう」と言ってくれたけれど、
それから17年は音沙汰がなかったね(笑)

1992年に電話がかかってきて「ブラック・タイ、ホワイト・ノイズ」でまた一緒にやりたいと。
そこからはずっと一緒にやっている。
彼は自分の作ったものに大喜びしているときがあるかと思えば、ステージに上がる直前は
神経質で恐怖にさいなまれてか弱い状態になっていることもある。

デヴィッドはたぐいまれな才能の持ち主だけど、基本的にはノーマルな男だ。
彼とは仲がいいけれど、人と交わらないタイプだね。
大概の大スターは虚栄心と権力と金に自分を乗っ取られてしまう。
もしかしたらそういう経験をして、気に入らなかったのかも知れないな。

時には彼に振り回されてしまうこともあるけれど、修復の機会はいつでもある。
彼に言ったことはないけれど、後悔の念を感じ取れるんだ。
ミック・ロンソンが死ぬ前も修復していたね。彼は彼なりのやり方で関係を修復するんだ。
色々とんでもないことを書かれているけれど、デヴィッドはいいやつだよ。」

David Live/David Bowie - 1974.07.08 Mon









[sales data]
1974/10/29
[producer]
Tony Visconti
[member]
David Bowie(vo)
Earl Slick(g)
Herbie Flowers(b)
Michael Kamen(p/moog/etc)
Tony Newman(ds)
Pablo Rosario(per)
David Sanborn(sax/fl)
Richard Grando(sax/fl)
Mike Garson(piano/mellotron)
Gui Andrisano(bvo)
Warren Peace(bvo)




「ダイアモンドの犬」ツアー時のボウイは幽霊のように青白く、体調不良で痩せこけ
プロとしての責任感と気力だけでツアーを続行しているのを見かねたスタッフが
マネジメントの反対を押し切って休養を与えるため、このツアーは2ヶ月あまりで
一時中断するのですが、この音源は中断前の演奏で「悲劇寸前の饗宴」とマスコミ評された
1974年7月8~12日フィラデルフィア・タワー・シアターでのライヴ。

diamond_dogs tour1

史上空前の巨大な舞台セットを導入した規模などの話題と比較してライヴの出来は
そんなに良くなく、何しろボウイのノリが悪い。
理由はその背景にあるのは間違いないんですが(相次ぐ機材トラブル、金銭関係のトラブル等で
音楽業界に絶望して薬漬けでボロボロな状態)

ボウイ談
「あのライヴは"デヴィッド・ボウイはかろうじて息をして生きてはいるが、
理論の中にしか生きていない"というタイトルにすべきだったね(笑)」

休養にあてたこのツアー中断期間に「フィラデルフィア・ソウル」に傾倒し
6週間の中断を経て再開された後半の北米ツアーはセットリストやアレンジを大幅に変更して
「"The Soul/Philly Dogs Tour"」と題され全く別のものになるのですが
生死を彷徨いながらも、休養中にも新たな物を吸収しようというボウイの貪欲さには脱帽・・・

Cracked Actor - Live Los Angeles '74/David Bowie - 1974.09.15 Sun









[sales data]
2017/6/16
[producer]
David Bowie
[member]
David Bowie(vo/g/harmonica)
Earl Slick(g)
Carlos Alomar(g)
Mike Garson(p/mellotron)
David Sanborn(sax/fl)
Pablo Rosario(congas)
Doug Raunch(b)
Greg Errico(ds)
Warren Peace(bvo)
Anthony Hinton(bvo)
Luther Vandross(bvo)
Ava Cherry(bvo)
Diane Sumle(bvo)
Robin Clark(bvo)




1974年9月にロサンゼルスで行われた<Philly Dogs Tour show>の音源で
BBCドキュメンタリー『Cracked Actor』として放送されたもので
近年このマルチトラック・テープが見つかり、ボウイの長年の相棒トニー・ヴィスコンティにより
ミックスダウンされたものです。

ボウイが生死の境を彷徨いながら行っていた「ダイアモンドの犬」ツアーを一旦中止し
休養期間中「フィラデルフィア・ソウル」に傾倒し、べースにはサンタナバンドのダグ・ロウチ、
ドラムは正式録音には残っていませんがウエザー・リポートのグレッグ・エリコと実力者を揃え
カルロス・アロマーとアール・スリック、デヴィッド・サンボーンなど「ヤング・アメリカンズ」の
セッションメンバーに加えルーサー・ヴァンドロスがバッキング・ヴォーカルで初参加しています。
(「ヤング・アメリカンズ」から2000年代までボウイをサポートしたカルロス・アロマーとボウイの接点は
1974年初頭にボウイがプロデュースしていたルルの「Can You Hear Me?」のギター演奏を
気にいったためで、この曲はボウイバージョンで「ヤング・アメリカンズ」に収録されました)



2か月近い中断を経て再開される後半の北米ツアー「"The Soul/Philly Dogs Tour"」の合間にあたる
本ライヴはセットリストこそDavid Liveと同じですが比較して聴くと確かにDavid Liveの
ジャケットのような青白い痩せこけたボウイに血が通い肉が付いたと感じます。



[おまけ]
カルロス・アロマーが語るデヴィッド・ボウイ

Young Americans/David Bowie - 1975.03.07 Fri









[sales data]
1975/3/7
[producer]
Tony Visconti
Harry Maslin
David Bowie
[member]
David Bowie(vo/g/p)
Carlos Alomar(g)
Mike Garson(p)
David Sanborn(sax)
Willie Weeks(b)
Andy Newmark(ds)
*****
John Lennon(g/vo)
Larry Washington(conga)
Pablo Rosario(per)
Ava Cherry(bvo)
Robin Clark(bvo)
Luther Vandross(bvo)
Earl Slick(g)
Emir Ksasan(b)
Dennis Davis(ds)
Ralph MacDonald(per)
Jean Fineberg(bvo)
Jean Millington(bvo)




今までのアルバムにもほのかにソウルっぽいサウンドは顔を出していましたが、
体調不良で「ダイアモンドの犬」ツアーが中断した期間にフィラデルフィア・ソウルに開眼し、
新たな開拓テーマが見つかったことで創作意欲が刺激され疲弊した心身にエネルギーが充電され、
(痩せこけて頬がこけていたボウイ様のお顔が心なし戻ったかなと)
中途半端が大嫌いなボウイは米国に移住し「白人はいかに黒人音楽のソウルフルさに近づけるか」
というコンセプトで今までのボウイサウンドを封印し「ソウルっぽい」ではなく
本格的なソウルアルバムを制作したため、いつもボウイの新たな試みに驚かされことに
慣れっこのファンですら腰を抜かすほどショックを受けたとか(笑)
(R&B系のバック演奏をしていたカルロス・アロマーはミック・ロンソンほど語られることは多くないですが、
このアルバム以降10年近くボウイの右腕として活躍します)

alomarbowie2.jpg

持ち上げては落とすのが商売のマスコミは米のビッグ・マーケットへの媚、物真似などと
酷評するもニューヨーク滞在中に知り合ったジョン・レノンとの共作FAMEは

000_20160118120732762.jpg

両人の共通のテーマ、スターの嘆き=もはやプライベートな時間は許されず、
あれほど有名になることを願っていたのに、それを実現した今はその逆を望んでいる矛盾を歌い
ボウイ念願のビルボード初のNo.1ヒットとなり米の有名なソウル番組「ソウル・トレイン」に
初の白人シンガーとして出演するという栄誉に授かったそうです。
(この曲は1990年のSound and Vision World Tourにあわせてリメイクもされました)

FAME.png david_bowie_changesbowie2.jpg



ボウイ本人はあまりに短期間でこのソウルプロジェクトが白人のみならず黒人にまで
認められてしまったことに自嘲気味に「プラスチック・ソウル」と呼び本作発表後ツアーは行わず、
初主演映画「地球に落ちて来た男」の撮影に入ります。

david-bowie_young_american3.jpg

The Spiders From Mars - 1976.01.15 Thu









[sales data]
1976
[producer]
Dennis McKay
Spiders From Mars
[member]
Pete McDonald(vo)
Woody Woodmansey(ds)
Dave Black(g)
Trevor Bolder(b)
*****
Mike Garson(key)




デヴィッド・ボウイがジギーとして活躍していた絶頂期のサウンドを支えていたのが
このThe Spiders From Mars。

本作はトレヴァーとウッディがピート・マクドナルド&デイヴ・ブラック(ケストレル)
4人で再編した同名バンドによる作品。
(マイク・ガースンはゲスト扱い)

ミック・ロンソンがこの再編に関わらなかった理由は分かりませんが、ミック・ロンソンは
ボブ・ディランの「ローリング・サンダー・レヴュー」参加のためやむなく参加を
断念したのかもしれません。

ボウイ時代のサウンドを期待するとスカしますが、キャッチ―なナンバーが多く
トレヴァーとウッディの小気味良いリズムは健在で、デイヴ・ブラックのギターも控えめながら
存在感を感じます。



[おまけ]
ミック・ウッドマンジーが語るデヴィッド・ボウイ

Station To Station/David Bowie - 1976.01.23 Fri









[sales data]
1976/1/23
[producer]
David Bowie
Harry Maslin
[member]
David Bowie(vo/g/sax/etc)
Carlos Alomar(g)
Roy Bittan(p)
Dennis Davis(ds)
George Murray(b)
Warren Peace(bvo)
Earl Slick(g)




70年代のボウイは特定のイメージが固定化するのを嫌うがごとく矢継ぎ早にコンセプトを
コロコロ変えるため、そのUp&Downの差はかなり大きく、

ジギー期 Up > ダイヤモンドの犬期 Down > Young Americans期 少しUp

Young Americansで「フィラデルフィア・ソウル」という分野を開拓したかと思うと
本作ではいとも簡単にソウルサウンドはかなぐり捨て(笑)
「白人である私、ヨーロッパ人である私はいかに黒人音楽を取り入れるべきか」
というテーマにしたストレートなロック作品。

冒頭の汽車の発車するSEから殆どの方がクラフトワークの「Trans-Europe Express」への
オマージュではないかと思っていると思いますが

1_20160118214208bd6.jpg

ボウイ談
「見当違いな指摘ってことじゃ「Station to Station」はクラフトワークの「ヨーロッパ特急」
へのオマージュなんじゃないか、なんてのもある。「Station」のほうが先なんだよ。
これは1976年、彼らのは1977年だからね。
だいたい、このタイトルは「Stations of the Cross」(「十字架の道行」)から来てて
鉄道の駅とは何の関係もない。」

ボウイさんも多くの人に指摘されいささかご立腹のようです(笑)
お間違いないように記しておくとボウイはクラフトワークに文句を言っているのではなく
評論家の勝手な評価や解釈についてですので悪しからず。

Thin White Duke

このアルバムツアーでは「ジギー・スターダスト」「アラジン・セイン」に
次ぐ新たなキャラクターとして「Thin White Duke」(痩せた青白き公爵)と
名乗りドイツのライブではナチズムを意識したステージを行ったため当局に要注意危険人物に
認定されてしまったとか(笑)
ボウイ様はとにかく何かを演じてないと気がすまないんでしょうね(笑)



音楽セールスは順調なのに一向に解決しないマネジメントの巨額の金銭トラブルや
ボウイの新たな音楽性を理解しないマスコミの中傷から逃避するために新天地として
選んだ米でも魂の安住の地は見つからず、孤独感は募る一方で長年の薬物使用による
中毒症状で精神面での疲労が頂点に達していたボウイは、薬物からの更正目的で
再び欧州回帰し(ベルリンへ移住)再び下降時期に入るのですが、そのマイナス面を
武器とした「孤絶する人(Isolar)」というテーマで巨匠ブライアン・イーノと合体し
新たなサウンド転換を行います。

Low/David Bowie - 1977.01.14 Fri









[sales data]
1977/1/14
[producer]
David Bowi
Tony Visconti
[member]
David Bowie(vo/g/sax/etc)
Brian Eno (key/synthe/etc)
Carlos Alomar(g)
Dennis Davis(per)
George Murray(b)
Ricky Gardiner(g)
Roy Young(p/org)
*****
Iggy Pop(bvo)
Mary Visconti(bvo)
Eduard Meyer(cellos)
Peter and Paul(p)




ベルリン三部作第一弾。

ボウイ談
「当時は最悪だった。身体も精神も限界だった。自分が正気かどうか、本気で疑ってた。
だが、「Low」の絶望のベール越しに、楽観につながる感触がつかめたんだ。
快方に向けてもがく自分の声が聞こえたんだ。」

変幻自在のボウイの音楽キャリアの中でも個人的に好きなのは陰気臭さ満載の
ベルリン三部作の時期です。

ボウイ談
「ロサンゼルスの生活で、もうどうしようもなくダメになっていく感じがしてたんだ。
ドラッグに手を出してボロボロになってたし、何か手を打たないといけなかった。
ベルリンって街には、何か聖域みたいな感じがあって、ずっと興味を持ってた。
誰にも注目されずに動き回れる、世界でも数少ない場所なんだ。俺は壊れそうになってた。
だが、彼らはイギリスのロックシンガーなんかに興味ない。安く生活できるしね。」

スターダスト後遺症から新たなステップに選んだ米移住生活に疲弊していたボウイが
ドラッグ漬けのリハビリが主目的の欧州回帰作品で(欧州回帰はイーノが勧めたとのことです)
新天地ドイツ、ベルリンにて制作されたアルバム。

イーノが参加していることで多くの方が勘違いしていると思いますがプロデューサーは
イーノではなくトニー・ヴィスコンティさんです。
(本作に限って言えばボウイとイーノの共同作業はアルバムの一部です)

ヴィスコンティ談
「イーノはスタジオ入りする前に、デイヴィッドと2人で曲作りを進めてたけど、
アルバム作りにかかわった記憶はない。3枚のアルバムどれの時も、彼のパートの録音で
一緒にいたのは、だいたい3週間くらいかな。ヴォーカルの収録にもオーバーダブやミキシングにも、
全く立ち会ってない。」



ボウイ談
「1974年、クラフトワークの「Autobahn」がリリースされて、自分の関心の方向が
ヨーロッパに揺り戻されたんだ。自分がもっと追求しないといけないのは、この電子楽器の
優位性だ、そう確信したんだよ。
俺がクラフトワークに熱狂したのは、彼らがアメリカ音楽のありきたりでつまらない
コード進行から唯一人だけ訣別していたこと、彼らの音楽がヨーロッパの感性を心底から
信奉していたことだ。それがすごく重要だった。」

当時ボウイが夢中になっていたクラフトワークのジャーマンテクノと
丁度アンビエント音楽に手を付け始めたブライアン・イーノの実験性に大きな影響を受け
アルバム半数がインスト曲というボーカリストボウイ様にしてはあまりに大胆な内容。
間違ってもLet's Danceなノリで気楽に聴ける内容ではありませんのでご注意を(笑)

The Idiot/Iggy Pop - 1977.03.18 Fri









[sales data]
1977/3/18
[producer]
David Bowie
[member]
Iggy Pop(vo)
David Bowie(key/synthe/g/p/sax)
Carlos Alomar(g)
Dennis Davis(ds)
George Murray(b)
Phil Palmer(g)
Michel Santangeli(ds)
Laurent Thibault(b)
Tony Visconti(additional mixing)



イギー・ポップと言えば「ゴッド・ファーザー・オブ・パンク」の異名を取る
ストゥージーズ時代の怒れるパンクのイメージが強いですが、デヴィッド・ボウイと
イギーさんの親交が始まったのは1971年頃でボウイの事務所(メインマン)に所属し
コロンビアからボウイのプロデュースで「ロー・パワー」をリリースするものの、

low power

数々のトラブルを引き起こし、事務所を解雇され、更に薬物依存が悪化し治療施設で
入院状態だったのですが、再びデヴィッド・ボウイがイギーの再起に手を貸します。

実はこの頃(1977年)、ボウイも肉体的にも精神的にも疲弊しており

ボウイ談
「ロサンゼルスの生活で、もうどうしようもなくダメになっていく感じがしてたんだ。
ドラッグに手を出してボロボロになってたし、何か手を打たないといけなかった。
ベルリンって街には、何か聖域みたいな感じがあって、ずっと興味を持ってた。
誰にも注目されずに動き回れる、世界でも数少ない場所なんだ。俺は壊れそうになってた。
だが、彼らはイギリスのロックシンガーなんかに興味ない。安く生活できるしね。」

そこでボウイは「Station To Station」のアイソーラー・ツアーにイギーを同行させ
ツアーが終了するとイギーと一緒に西ベルリンに移りマンションで共同生活を始め、
一緒に薬物依存の治療を受けつつ、レコーディングを開始します。

david bowie

ボウイがベルリン在住時にブライアン・イーノと「ロウ」「ヒーローズ」「ロジャー」と
ベルリン三部作を手掛けるのですが「ロジャー」は実際にはニューヨーク録音なので
ロウ」と同時期に制作された本作はほぼ同じメンバーで録音されており
この「The Idiot」こそがボウイのベルリン三部作最終作と考えるファンも多いようですが
音はまさにそんな感じです。

ここには悲痛な叫び声をあげるイギーはおらず、ギターノイズで神経を逆なでする爆音もない
ボウイを意識したような低いトーンに電子楽器をまとった80年代ニューウェイヴの
はしりのようなサウンドです。

ボウイはシングルヒットした「China Girl」や次作Lust For Lifeに提供した
「Neighborhood Threat」「Tonight」を自身のアルバムにカバー収録し、その印税のおかげで
イギーは財政的に持ち直し、ドラッグからも抜け出し見事音楽シーンにカムバックを果たします。



イギー談
「あの友情は、つまりはあの男がプロフェッショナルな意味で、そしてもしかしたら
個人的な意味でも破滅から救ってくれたんだ」

この頃二人の共演ライヴ音源もリリースされています。

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