Space Shanty/Khan(feat Steve Hillage & Dave Stewart ) - 1972.06.15 Thu
[sales data] 1972/6 [producer] Neil Slaven [member] Steve Hillage(g/vo) Nick Greenwood (b/vo) Eric Peachey(ds) ***** Dave Stewart(org/p/etc) | Space Shanty |
私がこのマイナー音楽ブログを始めた動機には2つ理由があり
一つ目は加齢や生活環境の変化で今まで聴こえなかった音が聴こえるという現象に大きなショックを受け、
聴くこともなく押し入れに収納されたままの膨大な音楽アルバムを再聴し、新しい発見をしつつ
時系列に整理しながらアルバムのデータベースを構築しようと思ったこと。
二つ目は最近の売れるためだけの商業音楽に胸を痛め、本当に良いマイナー音楽は聴かれないまま
消えてしまうという危機感からメディアがノータッチのマイナー音楽視聴推進を謳い
その旗振り役を孤高に努めているような自負があったのですが、実は何のことはない
「売れてないだけのメジャー系」をダラダラ推していただけの話で本当のマイナー音楽には
まだ殆ど切り込んでいないという現実に直面したのがこの「スティーヴ・ヒレッジ」との出会いでした。
ヒレッジは15歳の時、デイヴ・スチュワートと「Arzachel」を結成しプロデビューするも
大学進学のため脱退(デイヴはバンド名を「EGG」に変えて活動を継続)
ヒレッジはカンタベリーの大学に入学するまでカンタベリーがソフツやキャラヴァンの
ホームグラウンドであることを知らず、音楽活動をしているうちにカンタベリー系のミュージシャン達と接点を持ち、
本格的な音楽活動をするためせっかく入った大学を中退し結成したバンド「KHAN」名義唯一のアルバム。
ベースのニック・グリーンウッドはクレイジー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウンのメンバーで
ドラムのエリック・ピーチェイはニックのバンド仲間。
そして「Arzachel」時代の盟友デイヴ・スチュワートが「EGG」からゲスト参加。
ヒレッジは非常にアルバムを作り込む質で本作はカンタベリー系の名盤として紹介されるものの
内容はプログレ~ジャズロックでソフツのようでもあり初期パープルのようでもあり
YESのようであったりと少々アイディアを詰め込み過ぎてしまい、ヒレッジの音はこれだという
「核」が聴き手に伝わらず、数多いアートロックの一つに収まってしまいます。
このバンドはセカンドアルバム制作前に解散してしまい、この後ヒレッジはエアーズのバンドに一時在籍しますが、
ラジオ・ノーム期のGongに加入しその個性を爆発させることになります。
実はこの程度のミュージシャンなら他にもっといいのがいるよな程度の浅い認識だったのですが
ヒレッジに開眼したのはやはりソロ作品で展開されるヒレッジ曰くの「フィッシュ・ロック」を聴いてからです。
Gongのラジオ・ノーム三部作を聴いてデヴィッド・アレン~ピエール・ムーランGongを聴き続けると
どこか物足りない。
そうです、まさにあの三部作の核となるスペーシーなサウンドはヒレッジによるものだったのです。
ですから本来であれば三部作に続けて、ヒレッジさんのソロアルバムを聴くのが王道で
この辺に手を付け始めるとしばし英国の霧の深い森の中を彷徨い出られなくなりますのでご注意ください(苦笑)
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Fish Rising/Steve Hillage - 1975.04.11 Fri
スティーヴ・ヒレッジの初ソロアルバム。
本作品は時期的にGONGからデヴィッド・アレンとジリ・スマイスが脱退し
このアルバム制作にムーランの他バンドに残ったメンバー5人が参加したことから
HILLAGE's GONGのアルバムと考える人も多いようです。
デイヴ・スチュワート(ゲスト参加)と活動していたカーン時代の2NDアルバム用に
用意していたものの解散してお蔵入りしていた楽曲を含むコンセプトアルバムで
アルバムテーマの「FISH」とはライナーによるとヒレッジは大の釣り好きで
(魚とコンタクトを取る)部屋で瞑想する時に自分のプレイするエコーが溢れ
自分が海の中にいるような気分になることが多く、自身が海草になって海の中で揺れている
幻想を見ることがあり、本人はその状態を「フィッシュ・ロック」と呼んでおり
そのイメージをサウンド化したアルバムなんだそうです。
(Gongのラジオ・ノーム・インヴィジブル3部作の浮遊感はこのヒレッジの
「フィッシュ・ロック」によるものであることが分かります)
技巧派とかメロディアス系とか巷に溢れるそういう類とは一線画す個性派ですので
ちょっと普通のギタリストに飽きた方にはお薦めです。
またこの作品からSYSTEM7に至るまでヒレッジの活動パートナー(当時の恋人)となる
ミケット・ジロティが参加(近年のGongでも一緒に活動しているようです)
L/Steve Hillage - 1976.09.15 Wed
[sales data] 1976/9 [producer] Todd Rundgren [member] Steve Hillage(vo/g) Miquette Giraudy(voice/isis vibes) Roger Powell(key/synthe) Kasim Sulton(b) John Wilcox(ds) Don Cherry(tp/tambura/etc) Larry Karush(tabla) Sonja Malkine (15th century hurdy-gurdy) | L/Steve Hillage |
トッド・ラングレンがutopiaで独自の感性で洋楽カバーしていたノリをそのままヒレッジに
演らせたという作品です。
キーボード3人という6人編成から4人の新体制となり初来日した後、
脱退したジョン・シーグラーに代わり、カシム・サルトンがオーディションで加入した後の
太陽神(Ra)制作メンバーによる録音です。
バックがUtopiaということもあるんですが、今までのGONG流リフ多用なトリップミュージックは
前作で一旦終了させトッド・ラングレン流のPOPな新境地開拓なアルバムです。
(とは言え不思議な浮遊感は残っています)
このアルバムはGONGファンというよりもUtopiaなファンの方がサウンド的には
しっくり来るかもしれません。
Motivation Radio/Steve Hillage - 1977.09.15 Thu
[sales data] 1977/9 [producer] Malcolm Cecil [member] Steve Hillage(g/synthe/vo) Joe Blocker(ds) Reggie McBride(b) Malcolm Cecil(synthe) Miquette Giraudy(synthe) |
Gong時期から展開していた独自の音楽観(Fish Rock)が一段落したこの頃のヒレッジさんは
パーラメントやファンカデリックに強い影響を受け
「もう少しファンキーな音楽をやりたい」と考えていたところ
ヒレッジが気に入っていた「トントズ・エクスパンディング・ヘッド・バンド」のメンバーで
スティーヴィー・ワンダーの黄金期 ('72~'74年) のシンセサイザーのマニピュレイションをしていた
マルコム・セシルをヒレッジの取材記者から紹介してもらい本作のプロデュースを担当してもらいます。
デイヴ・コノリー(音楽評論家)
「『L』と同様に宇宙的だが、より親しみやすい」
ヒレッジ的にはファンキーな仕上がりなのでしょうが、アルバム全体がこじんまりと
まとまってしまった感じがしますが、それでもヒレッジならではの宇宙観は随所に健在です。
Green/Steve Hillage - 1978.04.15 Sat
[sales data] 1978/4 [producer] Nick Mason Steve Hillage [member] Steve Hillage(vo/g/synthe-g) Miquette Giraudy(synthe/vocoder) Curtis Robertson Jr(b) Joe Blocker(ds) Nick Mason(ds) |
ピンク・フロイドのニック・メイスンと共同プロデュースしたソロ4th。
ヒレッジも例外なくこの頃注目のRoland GR 500 guitar synthesizerを使用しています。
GONGの物語性を排除した非常に聴きやすい内容で(THE GLORIOUS OM RIFFのGONGバージョンと
本アルバムのリテイクを聴き比べればその違いは一聴瞭然です)80年代に入り
パンクロックやニューウェイヴの台頭で自由奔放な思想的なGong流音楽(マインドトリップ感)が
通用しなくなると、新たなユニットsystem7でアンビエント・ハウス・テクノ・ユニットに転向するため、
元Gongのギタリストという肩書きが通用する最後のアルバムです。
Live Herald/Steve Hillage - 1978.08.07 Mon
2ndアルバムのLリリース後、1977年~1978年複数個所で録音編集されたベスト選曲のライヴ盤。
・The Rainbow Theatre 1977/3/26
・The Rainbow Theatre 1977/11/3
・Oxfird Polytechnic 1978/5/25
・The Marquee Club 1978/8/7
アナログ時代は2枚組で1面のみスタジオ録音という変則アルバムだったようですが
CD化の際にライヴ音源のみに再編集し、スタジオサイドは「OPEN」に追加収録されています。
スタジオ盤が凝ったエフェクト効果サウンドのため、GONGの時のような圧倒的なグルーヴ感は
希薄ですが、演奏がコンパクトで聴きやすいと思います。
Open/Steve Hillage - 1979.01.15 Mon
[sales data] 1979 [producer] Steve Hillage [member] Steve Hillage(vo/g/sequencer/mmog) Dave Stewart(g/synthe) Miquette Giraudy(synthe) Jean-Philippe Rykiel(synthe) John McKenzie(b) Paul Francis(b) Andy Anderson(ds/per) Nick Mason(co-producer) | Open |
1979年「ライヴ・ヘラルド」と同時期に発売されたスタジオミニアルバム。
オリジナルLPは7曲入りでしだが、1990年のCD化の際、「ライヴ・ヘラルド」に
収録されていたスタジオ録音4曲とニック・メイスンとの共同プロデュースでシングル化した
「ゲッティング・ベター」を追加し曲順も変更し、更に2007年のリマスターCDは
ボーナス・トラックが2曲追加され、計14曲に改修されています。
追加された「Don't Dither Do It」はデイヴ・スチュワートが参加した
「FISH RISING」(1974)制作時の音源
パンク、ニューウェーブやディスコ要素を取り入れつつ、シンセ音を厚くした
POPS要素の高い作品でGong的な浮遊感は薄いです。
Rainbow Dome Musick/Steve Hillage - 1979.04.13 Fri
[sales data] 1979/4/13 [producer] Steve Hillage Miquette Giraudy [member] Steve Hillage(g/synthe) Miquette Giraudy(sequencer.etc) Rupert Atwill(eventide harmoniser) |
1979年ロンドンで開催された「Mind Body Spirit Olympia」というフェスで使用するために
ミケット・ジローディと制作したサントラ。
当時は全く話題にならなかったようですが、90年代以降のクラブ・ミュージックシーンで
高く再評価された作品です。
FISH RISINGでも書きましたがヒレッジが体感するフィッシュ・ロックをより発展拡大させた
アンビエント物で、フリップ&イーノを陽にした感じの心地良いミストサウナを体に浴びているような
感覚の連続なので聴くというよりも浴びるという作品質です。
BBC Radio 1 Live In Concert/Steve Hillage - 1979.04.28 Sat
ファンの方によるとこのBBC音源(1979年4月28日パリス・シアター)はNHK-FMで放送された
ことがあるようですが、本CDは1976年12月4日パリス・シアターの音源を2曲追加収録しています。
(メンバークレジットがないのですが1976年は7人編成のLバンド、1979年はOpen制作メンバー
によるものだと推測されます)
Live Heraldはベスト的な選曲にするためライヴの流れをスタジオでコンパクトに編集したため
演奏の勢いを殺してしまっていましたが、本作はほぼノー編集のためよりダイレクトに
熱演が伝わってきます。
ヒレッジ特有のスペイシーなサウンドの広がりは心地よく心のひだを刺激します。
GONGのMaster BuilderのリテイクTHE GLORIOUS OM RIFFを大音響で体感し昇天せよ!
For To Next-And Not Or/Steve Hillage - 1983.02.15 Tue
[sales data] 1983/2 [producer] Steve Hillage [member] Steve Hillage(g/synthe/programming) Miquette Giraudy(synthe/sekencer) | For To Next-And Not Or |
テクノ・ニューウエイヴ時期にモロその色に染まったウルトラボックスのような歌物比率の高い
スティーヴ・ヒレッジのソロ名義では今のところ最後の作品。
本人と奥さんのミケット・ジロウディさんとの共作でこの後、プロデューサー業に精を出しながら
System7の活動にシフトするのでそのパイロット盤ともいえます。
アナログ盤の初回特典に「AND NOT OR」というギター主体のテクノ物のインストミニ・アルバムが
ついていたようですが、CD化の際に1枚に収録されています。